眼をPCの電子カルテから机に落とし、しばらく「うーん」と唸った後、主治医はエヴァンジェリスト氏に云った。
「Eさん、副業してみます?」
エヴァンジェリスト氏が、生活の困窮から治療を止めなくてはならないかもしれない、と云ったからであった。
-------------------------------------------------
エヴァンジェリスト氏の顔が輝いた。
「します、します!」
土日か、平日の帰宅後にコンビニでバイトでもしないといけないかと思っていたのだ(コンビニでこんな老人を雇ってくれるか怪しいのに、勝手にそう思っているのだ)
「私、副業をしているんですよ。私も、このクリニックのローンが70歳まであり、でも自分が体を壊したら、と思って、その場合の保険です」
なろほど、個人の開業医もよく考えると大変なんだ、不安で一杯なんだ。エヴァンジェリスト氏は納得した。
「無理に、とは云えないんですが、してみますか、副業?」
「します、します、します!」
どんな副業であろうか?先生は、カフェでも開いたのであろうか?
「じゃあ、今度、説明しますね。いつも会社からは何時頃、帰って来ます?」
通勤に1時間半かかる愚痴を云いながら、早くても午後7時過ぎ、と答えると、
「じゃあ、メールしますね」
主治医のその言葉に光を見出したように感じた。
「有難うございます!」
【続く】
0 件のコメント:
コメントを投稿