2017年3月27日月曜日

ボクが吹くのは…….【夫婦の会話】







「ねええ、アータ。アータってサックス吹いてたことあるの?」

唐突な妻の質問に、ビエール・トンミー氏は狼狽えざるを得なかった。

「な、な、なんだ。いきなり」
「訊かれたのよ、さんの奥様に」
「マ、マ,●さん?」
「あーら、アータ、知らなかったかしら。紅茶教室でよくご一緒になる方よ」
「あ、そ」
西洋美術史にも詳しい方よ」
「せ、せ、西洋…」
「アータ,どうしたの、そんなにつっかえちゃって。そう云えば、アータも西洋美術史が好きなのよね」
「ま、まーな」
「マダム・●って綺麗な方よ」
「そうなのか!?」

ビエール・トンミー氏は、そう訊かざるを得なかった。

「そりゃ、もう、女から見ても美しい方よ。殿方なら夢中になるわね」





「そんなに綺麗なのか!?」
「あーら、アータ、お会いしたいの?マダム・に」
「いや、君よりも綺麗な女性っているはずがない」
「ま、ま、ま、まあああ。照れるじゃないの!」
「ボクは生まれてこのかた、嘘をついたことはない」
「ん、もう、アータったら」
ん、オ・マ・エ」
「あ、そう、そう。そのマダム・がね、仰るのよ」
「ん?」
『トンミ-さんのご主人ってサックスをお吹きになるの?』って」
「何故だ?」
「最近、ネットで、トンミーっていう老人が若い頃、サックスを吹いていたことがある、ってBlogか何か見たような気がするんですって」
「そんなはずがない!...いや、それはボクではない。ボクはサックスなんて吹いたことはない!」
「そうよねえ。アタシもアータからそんなこと聞いたことないもの」
「そうだ、そうだ」
「でも、ネットで調べてみようかしら」
「えっ!....そんな必要はない!」
「どうしたの?ムキになって」
「いや、そんなどうでもいいことするよりも、ボクの横においで
「きゃっ!」
「サックスではなく、君を吹いてやるよ」
「………んんん、あはっ……」







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