「君ならどうする?」
そう訊かれても、そんな質問も依頼も来たことはないので、エヴァンジェリスト氏は答えようがなかった。
「まあ、君にはそんなお願いは来ないだろうからなあ」
ビエール・トンミー氏は、相変らず無礼な奴である。
「まさか自分の身にそんなことが降りかかって来るとはなあ」
まあ、そりゃそうだ。『ビエール・トンミー記念學院』だなんて、尋常ではない。
「『ただ、新しく作る學院に御名前を付けさせて頂きたいのではないのです』と云うのだ」
学校法神『トビマス学園』って、聞いたこともない。
「『先生の思想に共鳴するのです』と云う訳さ」
ビエール・トンミー氏に思想なんてあっただろうか?
「『変態チョク語を学院生たちに暗唱させます』とさ」
変態チョク語?何だそれは?
「『先生の変態思想が、今のこの國を救うのです』とまで云われるとなあ」
そうかあ、『変態』も取りようによっては思想となるのか。
「いいんじゃあないのか、承諾しても」
エヴァンジェリスト氏は、適当にそう云ってみた。
「そうかあ、少し面映いがなあ」
と云いながらも、ビエール・トンミー氏は満更ではないようであった。
(続く)
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