(参照:アメリカに自由はあったか(その15)【米国出張記】の続き)
1989年6月24日は、米国滞在最後の日であった。その日を、エヴァンジェリスト氏は上司と二人で過ごした。
5thアヴェニュを通り、タイムズ・スクエアに行った。
如何にもなニューヨーク見物だ。余りにもベタなので、エヴァンジェリスト氏は、ニューヨークを象徴するそれらの場所の写真を撮らなかった。
代りに、米国の救急車を撮った。
米国らしい黄色のスクール・バスを撮った。
平和なニューヨーク散策のように思われるかもしれないが、世の中、そんなに甘くはない。
歩きながら、何の話からか、上司は、自分の結婚について語り始めた。
上司の夫人は、某県の殿様の家系だという。
それがどうした。
今も実家は、金持ちで、某県に広大な土地を持っているのだそうだ。
それは良かったね。
タイムズ・スクエアから少し行き、セントラル・パーク横を歩いたが、そういった場所も、如何にもな感じがしたので写真は撮らず、エヴァンジェリスト氏は、セントラル・パークを周遊する馬車を撮った。
その間に、上司は、夫人とのなりそめも語っていたかもしれなかったが、エヴァンジェリスト氏に興味はなく、上司の話はただ耳に入れているだけで、米国らしいがベタではないものを探しては写真に収めていた。
少しは、『スッゴイですねえ!』くらいの相槌を打てばいいものを、可愛げがない男である。
そんな上司とエヴァンジェリスト氏との男二人のニューヨーク散策はまだ続いた。
(続く)
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