いつものようにパジャマを着て散歩をし、自宅に戻ったところであった。
「今、着用されているのは、パジャマですよね?」
門を開けようとしたところで、背後からいきなり質問を浴びせられた。
「は?」
「分ってるんですよ。それ、パジャマですよね?一見、普通の服のように見えなくもないですが、パジャマですよね」
振り向くと、目つきの決してよくない60歳前後の男であった。
「き、君は誰だ!?」
「パジャマを着て、外出していいんですか?」
男は、ビエール・トンミー氏の問いには答えようとせず、追求を続けた。
「失敬だな、君は!」
「ここは中国ではないんですよ、日本です」
「君は、文春か?それとも新潮か、フライデーか?」
週刊誌の記者のように思えたのだ。週刊誌記者の取材を受けた経験はなかったが、追及の仕方が、週刊誌の記者的に思えたのである。
「日本で、パジャマを着て、外出することは許されないと思いますよ!」
「パジャマを着て、外出してどこが悪い?何の罪になるというのだ!」
ビエール・トンミー氏は思わずムキになってしまっていた。
「道徳的に許されないのではないですか!?道徳的には、『逮捕』モノですよ」
「はあ?道徳的に?何をほざいている」
「『アストン・ワイキキ・ビーチ・タワー』でのことも、ネタはあがっているんですよ!」
『アストン・ワイキキ・ビーチ・タワー』と聞き、ビエール・トンミー氏は怯んだ。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿