2017年8月29日火曜日

[この兄にして]救急車と馬鹿息子(後編)



2002年11月15日の21:00過ぎ、McDonaldのアルバイトから帰宅したグソク・エヴァンジェリスト(当時、高校生)は、風邪をひいたのか、何か食べたものにあたったのか、トイレに駆け込み、嘔吐した。

普段から悪行を重ねてきた罰があたったのだ、と両親は、全く心配しなかったが、夜中11時過ぎに、また吐き気を催し、トイレに駆込もうとして間に合わず、廊下一面に嘔吐物をまき散らしてしまったものの中には血が混じり、熱も39度を越えとても苦しそうであったので、両親は一応、まさに一応、

「救急病院にでも行くか?」

と訊いたところ、馬鹿息子は、キラッと目を輝かせて、

「救急車で行くの?」

と両親に訊いたのであった。




「んな訳ないだろ。タクシーだよ」

とツレナイ父親(エヴァンジェリスト氏)に、

「な~んだ。救急車だったら行ってもいいのに...」

グソク・エヴァンジェリストは、不満を顔にも声にも出した。

「救急車ってタダじゃないのよ。1万円するのよ!なんで、救急車なのよ!」

母親(マダム・エヴァンジェリスト)は、文字通り、眉を吊り上げた。

「いや、ま、一回、救急車に乗ってみたくて」
「ああ、もう、なしなし!病院も明日でいい」

と、結局、両親は、馬鹿息子を救急病院には連れていかなかった。

翌朝、近くのかかりつけの内科に母親が連れて行き、点滴を打ってもらい、翌日(2002年11月16日)の17:30頃にはもう、実はすっかりよくなっていた。

しかし、馬鹿息子は、まだ具合が少し悪いふりをして、ソファに寝そべり、テレビをグータラ見ていた。

実は、懲りない馬鹿息子は、その日の朝、かかりつけの内科に行く際にも、母親に訊いていたのである。

「救急車で行くの?」



※ 写真と本文とは関係ありません。


歩いて、3、4分の所にある病院である。ホント、馬鹿息子としかいいようがない。

点滴を打ってもらい、帰ってきた馬鹿息子に、妹(マドモワゼル・エヴァンジェリスト)が訊いていた。

「先生なんて云ってたの?風邪?それとも、普段の行いが悪いからだって?」

両親の会話を聞いていたのだ。

この兄にしてこの妹あり、とはこのことであった。

いやいや、この父にして、この愚息あり、この愚娘あり、であろうか。


(おしまい)



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