「(でも、非常事態だったんだ。誰にどう蔑まれようと、あの時、『イトーヨーカドー』の安いワインを買わなかったら、ボクは、アルコール依存症から抜け出すことはできなかったんだから)」
と、ビエール・トンミー氏が、安いワインを買う自分の惨めな姿を脳裏に浮かべながら思った時、また、iPhone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeであった。
そして、それは、ビエール・トンミー氏のアルコール依存症からの脱却を嘲笑うような内容でもあった。
====================================
「おお、『イトーヨーカドー』は大したもんじゃのお。アル中も治せんるんじゃのお。『イトー』(伊藤)さんは、なかなか『ヨカヨカ』じゃねえ」
「このアホンダラ、下手な九州弁使うて、わざとボケかましくさって。エエか、ワテは、『イトーヨーカドー』の安いワインを飲み続けたんや。酔えればエエさかい、出来るだけ安い酒飲んどったんや。それが、『イトーヨーカドー』の1,000円くらいのワインなんや」
「ワシは、1,000円なんちゅう高価なワインは買えんでえ」
「安いワインやさかい悪酔いするんや。その内、ワインのボトル見るだけで気分悪うなってきて酒飲みたくなくなったんや。それで禁酒成功したちゅうことや」
「普段、高価なワイン飲んどってよかったのお。元から1,000円のワイン飲んでアル中になったんじゃったら、そう上手いこといかんかったじゃろう」
「その後はやな、酒を飲むのは数ヶ月に一度くらいやな」
「ああ、完全に断酒したんじゃないんじゃね」
「この禁酒成功のことんを内科の先生に話したら、『学会報告ものや』と云われたで」
「おお、そりゃすごいのお!アンタ、『イシ』(医師)も認める『イシ』(意志)の人じゃね。『イシ』(石)のように固い『イシ』(意志)を持っとるんじゃね」
「禁煙も禁酒も簡単、簡単。タバコも酒も身の回りから遠ざければエエんや。ワテは、ビール以外は絶対飲まんし家では絶対に飲まんことにしとる」
「まあ、ビールは、アルコールとはいえんようなもんじゃろうけえね」
「やけど、ビール飲むのかて、ワテは、数ヶ月に一度行くラーメン屋「七志」でラーメン食べる時だけなんや」
「『コロナ』前は、4ヶ月毎にワシと会うて、アンタ、その時もビールは飲んどったけど、ワシとももう3年会うとらんしのお」
「おお、タバコ、酒だけやなかった。オゲレツも身の回りから遠ざけたさかい、今のワテの身の周りは清いもんじゃ」
====================================
と、友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageを送ったものの、ビエール・トンミー氏は、知っていた。
「(ああ、ボクは、オゲレツを身の回りから遠ざけることはできても、身から離すことができないんだ!)」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿