「(んん?だが、何故、『ドイツ』か『スイス』かなんて話になってたんだったかなあ?)」
と、疑問に思いながら、ビエール・トンミー氏は、身を横たえた自分の部屋のベッドから、天井にペコちゃんの眼のような視線を送った。
その時、また、
「トゥルントゥ」
『ホルン』音が鳴った。iPhone 14 Proのロック画面に友人のエヴァンジェリスト氏の戯けた画像があった。少しの間、エヴァンジェリスト氏からのiMessageが途絶え、ロック画面になっていたのだ。
「(けっ!アイツ、まだなんか云ってくるのか)」
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「すまん、すまん。返信が遅うなってしもうた」
「謝らんでエエ。返信もせんでエエで」
「いや、ちょっと、『オシッコ』しとったんよ。『座りオシッコ』なんよ、しばらく前からそうするようにしとるんよ」
「余計な報告はいらんで」
「それにしても、アンタ、さすが『世界史のプロ』を自認するだけのことはあるのお」
「ああ、世界史はのお、受験時は(大昔やけど)、どの入試問題も満点の自信あったでえ。このワテが今年の共通テストの世界史やっててみたんや。久しぶりや。結果は難しかったでえ。出題の仕方が全然変わっとるんや。複数の資料から必要な情報を読み取り、総合的に判断させて回答する様に問題が作られとるんや。この出題傾向に慣れんとアカン。多分(見てへんから知らんが)、コレ、私立の出題傾向と全然チャウで。共通テストを取り入れる私立を受験する学生は、ちゃんとした対策が必要やさかい大変やで。現代文も同じ傾向の問題やった。やっぱり複数の資料で考えさせるんや」
「アンタあ、この際、もう一度、大学受験してみん?」
「今から大学に行くドーキがないさかい、それな、ないで」
「大学生生活を満喫したらエエじゃないねえ。若い娘たちと合コンしんさいや」
「アンタ、大学一年生は50歳(半世紀や)年下やで。姪よりずっと年下や。ちゅうか、ワテの姪の子、それ、なんちゅう云い方の関係なんか知らんけど、小学3年生やさかい、大学一年生は、そっちの方に年齢が近いで」
「姪の子はのお、『又姪』とか『姪孫(てっそん)』とかいうらしいで」
「アンタもさすがの『デジタル・ハンター』やな。ネット検索、えろう速いで」
「小学生に年齢近い娘には、さすがのアンタも手を出さへんやろな。若い娘好きやけど、アンタ、ロリコンやないやろからなあ、多分」
「多分やあらへん、完全にせやないで。あ!ワテ、なんでこないな話せんなあかんねん。アンタとメッセージ交換しとると、話がどんどんオゲレツな方向に行ってまうがな」
「アンタも根がオゲレツなんじゃろうねえ」
「一緒にせんといて欲しいで。ワテ、アンタと違うて、快楽に溺れたりせえへんねん。あ、せや、快楽や」
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「(ふん、そうだ。ボクは、快楽に溺れたりはしない。…いや、溺れたいが、その『元気』がない)」
と、ビエール・トンミー氏は、自らの股間に視線を落とした。
「(大学受験の頃は、あんなに『元気』で、勉強の妨げになるくらいだったのに)」
(続く)
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