「トゥルントゥ」
また、『ホルン』音が鳴った。ビエール・トンミー氏が、もう50年も前の大学受験の頃を思い出している間に、iPhone 14 Proが、ロック画面になっていたのだ。
「(けっ!なんで、いちいちアイツの戯けた顔を見ないといけないんだ)」
iPhone 14 Proのロック画面の友人のエヴァンジェリスト氏の戯けた画像が、エヴァンジェリスト氏からのiMessageの着信を示していた。
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「どしたんね?アンタ、ひょっとしてロリコンやったんかいねえ?」
「このどアホがあ!『快楽』や、ああ、『快楽』や」
「ああ、最近は、『熟女』がようなったん?」
「アンタ、ホンマにオゲレツやなあ。『アーミッシュ』とはえらい違いや」
「また、『アーミッシュ』なん?」
「またやないで。さっきから『アーミッシュ』のこと、話してたやんか。それをアンタが、妙な方向に話を持ってっただけや。ええか、『アーミッシュ』はなあ、『快楽』禁止なんや。『快楽』ばっかし求めとるアンタとはえらい違いや」
「えええ!ほうなんねえ。『アーミッシュ』いうんは、しんどい人たちじゃねえ」
「アンタの考える『快楽』だけ禁止なんやないんや。総ゆる『快楽』が禁止なんや。酒もタバコもアカンねん。それどころかやなあ、『アーミッシュ』は、現代でも電気を使わず、車も使わず馬車だけ使い、移民当時の衣服を着て質素な生活をしとるんや。自動車の走ってとる道の横を馬車に乗っとる光景をアンタ、見たことないんか?それ、『アーミッシュ』やで」
「ああ、ニューヨークの街中を馬車が走っとるんは、見たことあるで。ニューヨーク行った時に見たんじゃったか、テレビで見たんかは忘れたけどのお」
「アホ、それは、観光用や。『アーミッシュ』が住んどるんは、アメリカのペンシルバニア州なんかの田舎や。カナダのオンタリオ州にも住んどるらしいんやけどな」
「ふん!まあ、ニューヨークでもペンシルバニアでもええけど、『アーミッシュ』も甘いのお」
「なんやて!」
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「(怒ることではないが、アイツ、ボクの云うことにいちいちケチをつけてくるのが、ムカつく)」
と、ビエール・トンミー氏は、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』に眼を落とした。
「(アイツ、『アーミッシュ』の爪の垢でも煎じて飲めばいいいんだ)」
(続く)
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