(夜のセイフク[その65]の続き)
「なに云うとるん?!」
ソフトテニス部の部員の女子生徒は、エヴァンジェリスト君にくってかかった。
「ヒロコやらしてくれる云うけえ、『東大に入る会』に入ったんじゃないんかいねえ!」
「そうだよ」
「ほいじゃったら、どういうことなん?」
険悪な雰囲気だ。
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室である(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)。放課後であった。
「ヒロコじゃなくなったんだよ」
「え?」
「(え?)」
ソフトテニス部の部員の女子生徒と同じ疑問をビエール・トンミー君も抱いた。
「名前を変えたのさ」
「え、そうなん?」
「ああ、ビエ君が、ヒロコという名前では嫌のようだからね」
「ああ、ほうかいねえ。それじゃったら、仕方ないよねえ」
「(いや、ボクは、そういうことを…..)」
エヴァンジェリスト君とソフトテニス部の部員の女子生徒とのやり取りに口を挟めぬビエール・トンミー君は、口をパクつかせていた。
「で、なんなん?アタシの名前は?いや、ヒロコの名前はなんになるん?」
「うん、それはね…..」
(続く)
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