2023年1月31日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その19)

 


「(いや、ボクは家内を愛しているんだ!)」


と、ビエール・トンミー氏は、自分に対して強lく、強く云いきかせた。


その時、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』の表紙の写真に映った帽子が、ビエール・トンミー氏には、自身の心中の動揺を象徴するかの如く、カタッと動いたように見えた。


しかし、それは、手に持つiPhone 14 Proの画面で、友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeが自動でスクロールしたことによる相対感覚であったのだ。



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「『アーミッシュ』以上に、今のアンタは、清廉潔白なんかいね?」

「あ、ああ、『アーミッシュ』はやな、実は、その牧歌的生活状況を見ると、清新潔白な生活をしとる想像してまうが、でも内情はチャウらしいんや」

「ありゃ、それじゃったら、まるでアンタじゃないん?西洋美術史を勉強しようと、オープンカレッジの授業を受講したんは、博識で知的好奇心が強いからじゃあと思わせといて、ホンマは、美人講師目当てで、教室の最前列に席を取り、美人講師が飛ばした唾を舐め回したりしたんじゃろ?」



(参照:【設立?】ビエール・トンミー氏を応援する会[その3]



「あんなあ、もう一回云うとくが、『プロの旅人』みたいなくだらん妄想系のBlogが云うとること、真に受けんやないで。『アーミッシュ』がしとるんは、手の甲に飛んできたオナゴの唾を舐め回すような変態やないんや」

「やっぱり、唾を舐め回したんじゃね」

「『アーミッシュ』はや、近親相姦(鬼畜やな)、聖書者による性的虐待なんかが結構多いらしいんや。おまけに自分たちだけの狭い外部から隔絶した生活をしてるさかい、その被害を外部に漏らすこと、具体的には、『司直の手が入る』ことはのうて、全部同じ内部で秘匿されとるらしいんや。そもそも『アーミッシュ』の出生率は高うて、コミュニティは拡大傾向にあるのやそうや。つまりや、『その方面』もお盛んちゅうことやな」




「その点については、アンタは、清廉潔白なんじゃね、一応は」

「はああ?せやから、なんやて、その『その点については』とか『一応』は、いうんは?云うまでもあらへんが、ワテは、鬼畜なことはしてへんで」

「そうようなことするとは思うとらんけえ。ほいでも、その『アーミッシュ』本で興奮しとるんじゃろ?」

「へっ!な、な、何云うねん!?」

「ほーら、動揺したじゃないね」


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「(しまった!また、iMessageで動揺を見せてしまった。アイツ、オゲレツなくせに頭は良くて、時々、こっちの痛いところを突いてくる)」


と、ビエール・トンミー氏は、iPhone 14 Proの画面に表紙された友人エヴァンジェリスト氏の戯けた顔を苦々しく見た。



(続く)





2023年1月30日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その18)

 


「(ボクは、知っている。自分がこの本にキスをし、頬ずりをし、匂いを嗅いだことを)」


と思うビエール・トンミー氏の視線は、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』に落ちていた。


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「ふふ。そうじゃ、今は、一応のお」

「え?何が、『今は』、なんだ?何が、『一応』、なんだ?」

「『意志』の人であるアンタも、『アレ』を止めるんは、タバコや酒ん時より、もっと大変じゃったんじゃろう?」

「また訳の分らんこと云いよるのお。何が、『アレ』や」

「アンタがタバコや酒に溺れたんは、アンタの『ラムシュプリンガ』じゃったんじゃろ?」

「云うたように、ワテは、『アーミッシュ』やあらへんさかい、『ラムシュプリンガ』はしとらんが、まあ、タバコと酒に溺れとった時期を『ラムシュプリンガ』じゃった、とアンタ、云いたいんやな。ま、勝手にすりゃあええ」

「若い頃のアンタは、自身の『原宿の凶器』を、タバコや酒のようにはコントロールできんで、『アグネスラム』みたいな女の子たちに、シュプシュプいうて、クラクラしとったんじゃろ。まさに『ラムシュプリンガ』じゃ。その『原宿の凶器』をなんとか宥めることができたんは、奥様のお陰じゃろう」

「は?家内のお陰?」

「『プロレス』好きの奥様との『戦い』で、さすがの『原宿の凶器』も翻弄され、大人しゅうなったんじゃろ。『プロの旅人』の『バスローブの男』にその辺の事情はよう書いてあったけえ」




「アンタなあ、あんな妄想Blogの書いとること真に受けんやないで。まあ、確かに、結婚してからは、女房一筋なんは、そん通りやがな。今はもう、タバコも酒もしとらへんし、『アーミッシュ』のよに清廉潔白な身なんや」

「『今は』じゃね」

「ああ、せやで。もっと正確に云うたら、今は、『アーミッシュ』以上に清廉潔白な身なんや」


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「(ああ、ボクは、今、家内に対しては、清廉潔白だ…)」


と云いながらも、ビエール・トンミー氏の視線は、再び、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』に落ちていた。



(続く)




2023年1月29日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その17)

 


「(でも、非常事態だったんだ。誰にどう蔑まれようと、あの時、『イトーヨーカドー』の安いワインを買わなかったら、ボクは、アルコール依存症から抜け出すことはできなかったんだから)」


と、ビエール・トンミー氏が、安いワインを買う自分の惨めな姿を脳裏に浮かべながら思った時、また、iPhone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeであった。


そして、それは、ビエール・トンミー氏のアルコール依存症からの脱却を嘲笑うような内容でもあった。



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「おお、『イトーヨーカドー』は大したもんじゃのお。アル中も治せんるんじゃのお。『イトー』(伊藤)さんは、なかなか『ヨカヨカ』じゃねえ」

「このアホンダラ、下手な九州弁使うて、わざとボケかましくさって。エエか、ワテは、『イトーヨーカドー』の安いワインを飲み続けたんや。酔えればエエさかい、出来るだけ安い酒飲んどったんや。それが、『イトーヨーカドー』の1,000円くらいのワインなんや」

「ワシは、1,000円なんちゅう高価なワインは買えんでえ」

「安いワインやさかい悪酔いするんや。その内、ワインのボトル見るだけで気分悪うなってきて酒飲みたくなくなったんや。それで禁酒成功したちゅうことや」

「普段、高価なワイン飲んどってよかったのお。元から1,000円のワイン飲んでアル中になったんじゃったら、そう上手いこといかんかったじゃろう」

「その後はやな、酒を飲むのは数ヶ月に一度くらいやな」

「ああ、完全に断酒したんじゃないんじゃね」

「この禁酒成功のことんを内科の先生に話したら、『学会報告ものや』と云われたで」

「おお、そりゃすごいのお!アンタ、『イシ』(医師)も認める『イシ』(意志)の人じゃね。『イシ』(石)のように固い『イシ』(意志)を持っとるんじゃね」




「禁煙も禁酒も簡単、簡単。タバコも酒も身の回りから遠ざければエエんや。ワテは、ビール以外は絶対飲まんし家では絶対に飲まんことにしとる」

「まあ、ビールは、アルコールとはいえんようなもんじゃろうけえね」

「やけど、ビール飲むのかて、ワテは、数ヶ月に一度行くラーメン屋「七志」でラーメン食べる時だけなんや」

「『コロナ』前は、4ヶ月毎にワシと会うて、アンタ、その時もビールは飲んどったけど、ワシとももう3年会うとらんしのお」

「おお、タバコ、酒だけやなかった。オゲレツも身の回りから遠ざけたさかい、今のワテの身の周りは清いもんじゃ」


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と、友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageを送ったものの、ビエール・トンミー氏は、知っていた。


「(ああ、ボクは、オゲレツを身の回りから遠ざけることはできても、身から離すことができないんだ!)」



(続く)





2023年1月28日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その16)

 


「(あのままだったら、家内と結ばれることもなかっただろう)」


と、ビエール・トンミー氏は、同じ会社のマーケティング部にいた妻との出会いを思い出した。システブ開発部の自分が、マーケティング部用のシステムを開発し、そのシステムの操作方法を教えたのが、妻であったのだ。妻のすぐ横、密着するように並んで座って、操作を教えたのだ。


「(あの時、まだアル中だったら、猛烈に酒臭くて、女房はボクのことを軽蔑していただろう)」


と、また、iPhone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeである。



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「ワシ、大学生時代、同級生にアル中がおって、その男は、食事する時、味噌汁のお椀持つ手が震えとったし、親からの仕送りがあったら、CDで(当時は、ATMじゃのうてCDじゃったろ?)お金をおろして、直ぐに酒屋に行くんよ。で、『角打ち』いうんか?酒屋でそのまま、直ぐに酒を飲んどったけえ」




「ああ、その同級生も立派なアル中や」

燕尾服は着とらんかったがのお。あの男は、今でもアル中なんじゃろうか?」

「ワテはやなあ、何度も禁酒しょうとしたんやが、挫折の連続やった」

「タバコん時みたいに、『エイヤッ、もー禁酒したる』と絶大なる意志の力でもっても禁酒できんかったん?」

「ああ、アカンかったんや。依存症いうもんは、怖いもんや。抜け出そうと思ても、なかなか抜け出せへんのや。まあ、アンタかて、普段は、戯けたことばっかし云うとるが、現役のサラリーマン時代、立派な『仕事依存症』やったんやさかい、分るやろ」

「ああ、ほうじゃのお。じゃけど、現役のサラリーマン時代、ワシ、スーツは着とったが、燕尾服は着とらんかったけえ、あんまり立派な『仕事依存症』じゃなかったんかもしれん」

「やけどなあ、ワテはなんとか禁酒に成功したんや。禁酒でけたんは、『イトーヨーカドー』の安いワインのお陰や」


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「(あの頃は、恥ずかしかった)」


と、ビエール・トンミー氏は、『イトーヨーカドー』で安いワインを買っている自分を思い出した。


「(それまでは、高級ワインしか買ったことがなかったんだ。なのに、あんな安いワインを買うなんて、周りの誰もそんなこと見てもいないだろうし、気にもしていないだろうとは思ってはいたが、自分を誤魔化すことはできなかったんだ)」



(続く)




2023年1月27日金曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その15)

 


(『アーミッシュ』のことは、この歳になって知ったんじゃないんだ。中学生の頃から、『現代でも電気を使わんで馬車に乗っ取る昔の服装をした人々」というアーミッシュを知っとって、『何やあの人たちは』と興味があったんだ)」


と、ビエール・トンミー氏は、自分が中学生の頃から知的好奇心の強い人間であり、サラリーマン生活を引退し、時間的余裕を持てるようになった今、その好奇心を満たす為、猛烈に読書をするようになった自分自身が誇らしかった。


そして、


「(くだらんBlogを日々書いては、『んぐっ!』とか云ってるアイツとは違うんだ)」


と思った瞬間、


「トゥルントゥ」


と、また『ホルン』音がなり、iPhone 14 Pro のロック画面に、その『アイツ』小さな戯けた顔が現れた。友人のエヴァンジェリスト氏からのiMessageである。



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「アンタも、『ラムシュプリンガ』したんじゃね」

「は?何、云うてんねん。ワテ、『アーミッシュ』には興味持ちはしたけど、『アーミッシュ』やあらへんで」

「アンタ、若い頃、タバコ喫っとった時期あったんじゃろ?アンタ、会社員になって地方勤務で、ワシはまだ大学院生で東京におって、あんまり会わんかった時期じゃ」

「おお、『ラーク』や。『ラーク』。アメリカのタバコやで。雑誌に『ラーク』の記事があったんで試しに吸ってみたのが契機やったで。吸ったのは24歳から4~5年や」

「おお、やっぱり『不良』やっとんたじゃね。便所で吸っとったん?」

「アホか!?高校生やあるまいし」




「お酒にも溺れたんじゃろ?」

「ああ、酒もやなあ、溺れるいうか、20歳の時から酒飲んで、その後立派なアルコール依存症になったんやで」

「『立派なアルコール依存症』いうことは、燕尾服を着るとお酒を飲まんと堪らんようになったん?」

「茶化すんやないで。誰が普通、燕尾服なんか着んねん。ええか、アルコール依存の治療で有名な『久里浜医療センター』が作成した『久里浜式アルコール症スクリーリニングテスト』ちゅうもんがあってな、ワテは、その10の質問のうち8個位該当したんやで。1~3が要注意、4以上が依存症や。なのに、ワテは、8個やったんや。な、どや、立派なアルコール依存症やろ」

「でも、アンタ、今はもうタバコも酒もしとらんのじゃろ?」

「ああ、禁煙、禁酒したんや。先ず、禁煙やが、なんで禁煙したかあいうたら、何度も禁煙するのに疲れたからや。何度も禁煙するのに挫折したさかい、『エイヤッ、もー禁煙したる』と絶大なる意志の力でもって禁煙したんや。その後はタバコには触ったこともないで。ちゅうか決して触らんようにして禁煙したんや」

「そうなんじゃね。トイレで吸うとるんを先生に見つかって、こってり絞られてタバコやめたんかあ、思うとった」

「禁酒は、大変やったで。ワテ、朝、コンビニの前を通る時、酒を買って飲みたい衝動に何度も駆られるような重症やったんや」


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「(汗が出たんだ…)」


ビエール・トンミー氏は、コンビニの前を、酒を買うのを我慢して通り過ぎる時、猛烈な発汗に襲われたことを思い出し、そのことを思い出しただけで今また、汗が出てきそうになるのを感じた。



(続く)





2023年1月26日木曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その14)

 


(ボクが、フランス語については、『il』と『elle』くらいしか知らないのに、大学でフランス語経済学は『優』をとれたのは、まさにアイツのサポートがあったからだ。アイツに、試験に当たって、教科書の中の出題範囲の『SNCF』[フランス国有鉄道]に関する部分をフランス語を翻訳してもらい、その訳を丸暗記したからだ)」


と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏に対する感謝の気持ちは今でも持っていないではなかったが、


「’(だが、全く分らないフランス語の文章をイメージとして記憶し、試験でその部分が出てきたら、丸暗記したその部分の日本語訳を書くことで『優』をとるのも一種の才能じゃないか!)」


と、自分のことを何かにつけて『SNCFの大家』と云ってくる友人のエヴァンジェリスト氏の嫌味に対して反論したい気持ちはあった。


だが、相手がどう出てくるのかよく分からず、迂闊なことを云うとやぶ蛇になるので、取り敢えず、当たり障りのない返信iMessageを送ることとした。



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「おお、そうじゃ、『蝮』のことじゃ」

間違ってはいないが、正解ではない』いうんは、『François MAURIAC』の『蝮の絡み合い』の主人公の男が、妻に対して『君は嘘をついていた訳ではない、この嘘つきめ!』と思うたんとおんなじような感じじゃね」

「え?ん、まあ、せやったかいな」

「主人公の男は、結婚前に妻となる女性の涙を見て幸せな愛の涙だと思ったんじゃが、後に、妻には、自分と結婚する前に好きな男がおったこと知って、『確かに、君は、私の側にいたから泣いたのだ。……私の側にいて、別の男の側にいたのではなかったからなのだ』と思うたけえ、『君は嘘をついていた訳ではない、この嘘つきめ!』と云うたんじゃったよのお」

「お、おお、おお、そうじゃった」

「『プロの旅人』氏も、『【曲がったことが嫌いな男】石原プロに入らない?入れない?』で、そのこと書いてくれとったし」



(参照:【曲がったことが嫌いな男】石原プロに入らない?入れない?[その60]



「ああ、あのくだらんBlogのことはどうでもええが」

「ノーベル賞作家『François MAURIAC』とおんなじような表現が云えるアンタあ、やっぱり凄いで。『ChatGPT』なんか敵じゃないで。『間違ってはいないが、正解ではない、ということをちゃんと説明できるじゃけえ。ワシ、今度から、アンタのことを『ChaTONMIE』と呼ぼうかいねえ」

「おお、そうじゃ、いや、『ChaTONMIE』やのうて、間違うとらへんけど、正解やない』ことや、問題は。エエか、『アーミッシュ』の若もんは、大人になる前に、親から離れて自由に過ごす時期があるんや。それは、『ChatGPT』の云う通りやな」

「ほいじゃけえ、『ChatGPT』の回答は、間違うとらん、いうことなんじゃね。で、なんで、間違うとらんのに、それが正解じゃあないん?」

「おお、そこやで。『自由に過ごす』いう意味、分るかいな?この『自由に』いうんは、アンタ好みの意味なんや」

「おお、そういうことなんじゃね!」

「せやで、まずはな、普通のアメリカの若もんとおんなじような服着たり、化粧したり、クルマの免許とって運転したりするんや。映画見たり、スポーツの試合みにったりもするんや。『アーミッシュ』ならやらんことやな」

「でも、それだけじゃないんじゃろ?」

「せや。アンタの期待通りのことする輩もおるみたいなんや」

「おお、おお、おお!期待するでえ!」

「タバコ吸うたり、酒飲んだりするんや。ドラッグするんもおるし、パーティーしたり、勿論、デートもするんや。そうきたら、ほれ、アンタがいっちゃん期待しとることもするねんで」




「おお、おお、おお!『んぐっ!』なんじゃね!」

「その言葉、ワテ嫌いねんけど、まあ、せやな。これが、『ラムシュプリンガ』なんや。『ラムシュプリンガ』は、『ChatGPT』の云う通り、『アムishの若者が青年期に経験するための社会的な時間帯』じゃし、『この時期には、彼らは両親から独立し、社会に出て、一般的な文化や慣習を体験する』んは、まあ間違おとりはいてへんが、そん中身をもっと説明せな、正解やない、ちゅうことなんや

『ChatGPT』は、『んぐっ!』を知らんのんじゃね」

『ChatGPT』やのうても、誰もそないなもん知らへんやろ。それより、もちょっと説明するとやな。『アーミッシュ』の若もんは、この『ラムシュプリンガ』を経て、『アーミッシュ』になるかどうか判断して、なろうと思うたら『アーミッシュ』としての洗礼を受けて、ようようホンマもんの『アーミッシュ』になるんや。それまでは、『アーミッシュ』の子どもは、正式にはまだ『アーミッシュ』やあらへんねんで」


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「ふうーっ」


と、ビエール・トンミー氏は、吐息を漏らした。そして、その吐息は、自身の知識をようやく披露できたことの満足感となって、ビエール・トンミー氏の全身を心地よく包んだのであった。



(続く)




2023年1月25日水曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その13)

 


(『AI』には、『間違ってはいないが、正解ではない』なんて、理解できないだろうよ)」


と、北叟笑みながら、友人のエヴァンジェリスト氏に返信のiMessageを打とうとしたところ、またまたiPhone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。


友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeである。



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今のお、『ChatGPT』に、『間違ってはいないが、正解ではない、ということをChatGPTは理解できないだろう』と訊いたんよ」

「誰がそないなこと訊けえ、云うたんや」

「アンタ、気になっとったんじゃないん?」

「うっ…おっと、気になってなんかいいへんて」

「あれ?でも、まあ、アンタの勝ちじゃや」

「勝ち?どういうことや?」

「『ChatGPT』はのお、『According to ChatGPT (OpenAI, 2021), [ChatGPTは人間に似た自然言語理解能力を持っていますが、正解ではないが間違っていないという概念を理解するためには、特別なプログラミングが必要です。そのため、そのような質問に対しては、正解と思われる答えを提示することができますが、それが正しいかどうかは確認できません。』と云うてきたんよ。つまりじゃ、『ChatGPT』は、ちゃんと回答できんかったんよ。それどころか、『正解と思われる答えを提示することができますが』と云いながら、その『正解と思われる答え』を提示して来んかったんよ。『ChatGPT』は、強がりじゃのお」

「まあ、『AI』なんちゅうもんは、今んところまだそんなもんじゃろうて」

「その点、アンタあ、やっぱり凄いのお。『間違うとらへんけど、正解やない』ことを云えるんじゃけえ。まさに、『Le Nœud de Vipères』の世界じゃ」




「お?おお、『Le…』か、その後が入力変換できひんが」

「iPhoneのキーボードに、アンタ、『フランス語(フランス)』を設定しとらんじゃろうけえね」

「おお、おお、せや、せやで。普段、フランス語を入力する必要ないさかいな」

「じゃけど、アンタ、『SNCF』の大家じゃけえ、『Le Nœud de Vipères』が、『François MAURIAC』の代表作『蝮の絡み合い』じゃあいうことは、分っとるんじゃろ?」


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「(アイツ、『モーリアック』のことなんか持ち出してきて、何を云いたいんだ?)」


ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏の言葉には嫌味がたっぷり織り込まれていることは承知していたのだ。



(続く)






2023年1月24日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その12)

 


「(しかし、アイツ、どうして『アーミッシュ』の若者の生態について興味を持つんだろう?いや、そもそも、どうして、アイツと『アーミッシュ』についてメッセージ交換なんかしているんだ?」


と疑問を抱きながらも、自らの知識を披露することにある種の快感を覚えるビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageを送る。



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「ええか、『ラムシュプリンガ』いうんはやなあ、元々はドイツ語なんや。『Rumspringa』て書くねん」

「おお、ドイツ人女性『メルセデス』さんとのピロー・トーキングの成果なんじゃね」



(参照:【ビエール先生の『クラス』講座】Eクラスな男・NGクラスな男[その44]



「あほんだらあ、また茶化すんかいな。エエか、『Rumspringa』は、英語やと『running around』なんや」

「えええ、ほうなん?『メルセデス』さんとのピロー・トーキングは、『お疲れ』の後で、間違うて聞いたんじゃないん?」

「なんや疑うんかいな?」

「今、翻訳サービスで、『running around』をドイツ語にしたら『herumrennen』となったで」

「アンタ、困った『ネット師』やなあ」

「『ChatGPT』に、『Rumspringaはドイツ語か』と訊いたら、『According to ChatGPT (OpenAI, 2021), [Rumspringaはアメリカン・アムッシュ語で、アマッシュ族のアダルトになる前に行われる、自由な生活を送る期間を指します。]』と回答があったけえ、更にのお、『Rumspringaは元はドイツ語か』と訊いたら、『According to ChatGPT (OpenAI, 2021), ["Rumspringa"はアメリカン・アムishの文化において使用される言葉であり、ドイツ語ではありません。 Rumspringaは、アムishの若者が青年期に経験するための社会的な時間帯を指します。この時期には、彼らは両親から独立し、社会に出て、一般的な文化や慣習を体験することができます。』と回答があったんよ」

「アンタ、いちいち『According to ChatGPT (OpenAI, 2021),』て、五月蝿いで」

「『ChatGPT』の結果を引用する時にゃあ、それを書かんといけんみたいなんよ」

「なんか面倒臭いのお。まあ何にしても、『ChatGPT』ちゅう流行りの『AI』のことはよう知らへんけど、あながち間違うたことは云うとらんで。でも、間違うとらへんけど、正解やないで」


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「(アイツ、こっちがよく知らない『ChatGPT』なんか持ち出してきて、知識をひけらかせようとしているんだろうが、本当の知識というものを教えてやる!)」


と、ビエール・トンミー氏は、鼻腔を膨らませた。




(続く)





2023年1月23日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その11)

 


「(ああ、ボクは知っている。この本に、あの娘の手が触れたのだ。だから、ボクはこの本に…)」


ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏には、自分は『快楽』を求めてはいない、と云ったものの、買いはしたがまだ読んではない本『アーミッシュの老いと終焉』に、キスをし、頬ずりをし、匂いを嗅いだ自分自身を誤魔化すことはできなかった。


しかし….


「(アイツが、知っているはずはないんだ)」


その本を購入した駅前の書店の店員であるあの娘のこと、その娘がレジでその本に触ったこと、そして、自分がその本に対してした変態的な行為を、エヴァンジェリスト氏が知るはずもないのに、友人に見透かされたように思ったのは、自身の心の問題である、と考え、自らを落ち着かせようとした。


「(それに、ここもうしばらく、いうことをきかないんだ…)」


と、ビエール・トンミー氏は、自らの股間に視線を落とした時、また、iPhone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。


友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeである。



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「いやあ、すまん、すまんのお。ワシ、ちょっとデリカシーが欠けとった」

「はあ?ちょっと欠けとるも何も、アンタにはハナからデリカシーちゅうもんは全然ないやろに」

「いやの。アンタ、『快楽』求めようにももう体がアンタの云うこときかんのじゃろ」

「ふん!ノーコメントじゃ。事務所を通してくれ」

「アンタは、アンタの云う通り、『快楽』求めとらん、いうか、求めることができんのんじゃろう」

「勝手なことを!あ、ノーコメントじゃ。事務所を通してくれ」

「で、アンタ同様、『快楽』を求めとらん『アーミッシュ』なんじゃが、ワシ、疑問があるんよ」

「何じゃ?」

「いくら『快楽』を求めんいうても、思春期にはどうしょうもない『衝動』いうもんがあるじゃろ?」

「ああ、そりゃそうや」

「アンタかて、若い頃は、そんな『衝動』にかられ、『快楽』を求めまくって、『原宿の凶器』と呼ばれた時期もあったじゃないねえ」

「まあ、それは否定はできひんなあ」

「『アーミッシュ』の若もんも、『衝動』はあるじゃろうし、それを抑えきれるん?」

「おお、そこんとこかいな。アンタにしては、まあ、エエ質問やな。まあ、教えたろ。ええか、『ラムシュプリンガ』いうんがあるらしいんや」

「え?『ラムシュプリンガ』?『アーミッシュ』の若もんも、『アグネスラム』みたいな女の子に、シュプシュプいうて、クラクラすることなん?」




「また、無理矢理な解釈してくんねやなあ。何や、『シュプシュプ』て。ちゃうで。いや、ちゃいへんねんやけどなあ」


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友人エヴァンジェリスト氏の戯けた解釈には苛立ちを覚えなくはなかったが、自らの『快楽』、変態的行為を意識させられる会話から、『アーミッシュ』の生態へと話題が展開、ビーエル・トンミー氏は、落ち着きを取り戻した。



(続く)




2023年1月22日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その10)

 


「(アイツ、『自然に生きてるって わかるなんて 何て不自然なんだろう』って云ってきたが、アイツが自分で考えた言葉なんだろうか?まあ、アイツ的な発想でなくはないんだが)」


と、ビエール・トンミー氏は、iMessageを交わすiPhone 14 Proの画面の向こうにいる友人エヴァンジェリスト氏のオゲレツだらけの文章に、ごくごく稀にだが、『真』を描くレトリックがなくはないことを思った。


しかし、その思いは直ぐに、次に来たエヴァンジェリスト氏からのiMessageでかき消された。



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「いや、ワシの言葉じゃやないんよ。アンタの高校の先輩が、そう歌うとったらしいんよ。『吉田拓郎』よおね」

「は?」

「『広島皆実高校』の先輩じゃろ、『吉田拓郎』は?」

「知らん、知らん!『カイジツ高校』なんて、ワテは知らへん!」

「『広島皆実高校』の文化祭に帰ってきて、体育館でコンサートやってくれたじゃろうが」




「知らん、知らん!いや、『吉田拓郎』は知らんでもないが、『カイジツ高校』なんて、ワテは知らへん!」

「『皆実(ミナミ)高校』をカイジツ高校』いうんは、不自然でえ。その点、『未接触部族』の人たちは、自然に生きとることについて、それをそうとは思わん程に、『自然』に生きとるんじゃあ思うんよ」

「まあ、その考え方は、認めたる」

「でのお、それと比べたら、『アーミッシュ』は甘いんじゃあないかと思う訳なんよ。まあ、ワシは、『アーミッシュ』のことはよう知らんけど、自然に生きとる自覚があるんじゃないんかねえ?そだとしたら、そりゃあ、『自然』じゃあないでえ」

「うーむ、そうれはそうかもしれへんけど」

「でも、『アーミッシュ』も『アーミッシュ』なりに、『快楽』を求めず、禁欲的な生活をしとるいうことなんじゃね」

「おお、ようよう、話がそこに戻ってきたか。せや、そん通りじゃ」

「でも、アンタあ、『アーミッシュ』にはなれんのお」

「は?『アーミッシュ』になるつもりなんぞ、あらへんが、なんでなれへん云うねん?ワテは、アンタと違うて、オゲレツな『快楽』は求めとらんで」

「へええ、ホンマにそうなんかねえ」

「うっ!」


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「(しまった!なんで、iMessageに『うっ!』なんて、呻き声を書いてしまったんだ」


と、ビエール・トンミー氏は、自らの鼓動が速くなっていることに気付かない程に動揺した。


ビエール・トンミー氏は、知っていたのだ。買ったもののまだ読んではない本『アーミッシュの老いと終焉』に、キスをし、頬ずりをし、匂いを嗅いだことを。本来は、『快楽』を提供するものではない本に『快楽』を求めたことを。



(続く)




2023年1月21日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その9)

 


「(ふん!どうせ、程なく、またオゲレツ話に持ってくるつもりだろうよ)」


と、ビエール・トンミー氏は、右手に持つiPhone 14 Proの画面の向こうに、ニヤつく友人エヴァンジェリスト氏の顔を見た。



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「『イゾラド』はのお、もう最後の一人も死んで、いのうなってしもうたみたいなんじゃが、原始的な生活しとったんじゃけえ、多分、そりゃ、『アーミッシュ』よりずっと昔ながらの生活じゃろう思うんよ」

「それはまあ、そうじゃろうて」

「『イゾラド』以外にも、世界にはようけえ、『未接触部族』いうんがあるらしいんよ。そうような部族は、ワシ、会ったことないんじゃが、多分、『イゾラド』と同じで、所謂、『文明的』な生活はしとらんじゃろう、思うんよ(ワシらの生活が『文明的』かどうかは、ほんとのとこは分らんけどのお)。勿論、馬車にも乗っとらんじゃろう。そうような人たちと比べるとジャ、『アーミッシュ』は甘いで。馬車に乗ったりしとるんじゃろ?」

「まあ確かに、そうかもしれへんけど」

「それに、「アーミッシュ』が、『移民当時の衣服を着て質素な生活をしとる』いうことは、ちょっと古めかしいけど、服を着とるんじゃろ?」

「それはそうや」

「『未接触部族』いうんは、多分じゃが、服は全然着とらんか、股間をちょこっと隠すくらいのことしかしとらんかもしれん」

「まあ、せやろなあ。自然に生きとるんやろな。それはそれでエエことかもしれへんで」

「ほうじゃろう。うん、アンタも、じゃけえ、家の中で、パンツ一丁でおるんじゃろ?証拠写真あるで、これや」




「やめれ、やめれ!アンタ、この写真持ち出す為に、『イゾラド』とかの話してきたんか」

「『文明社会』に生きるアンタは、『自然に生きる』ことの意義を思ってパンツ一丁になっとるんじゃろ」

「お、おお、おお。せやで。決して、変態行為ではないで」

「じゃが、『未接触部族』の人たちは、『自然に生きとる』とは思うとらんじゃろ。『自然に生きてるって わかるなんて 何て不自然なんだろう』いうことじゃろう」

「おお、たまには、エエこと云うやないか」


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と、珍しく、友人のエヴァンジェリスト氏を褒めたが、ビエール・トンミー氏は、まだ何か引っ掛かるものを感じていた。



(続く)