「(いや、ボクは家内を愛しているんだ!)」
と、ビエール・トンミー氏は、自分に対して強lく、強く云いきかせた。
その時、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』の表紙の写真に映った帽子が、ビエール・トンミー氏には、自身の心中の動揺を象徴するかの如く、カタッと動いたように見えた。
しかし、それは、手に持つiPhone 14 Proの画面で、友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeが自動でスクロールしたことによる相対感覚であったのだ。
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「『アーミッシュ』以上に、今のアンタは、清廉潔白なんかいね?」
「あ、ああ、『アーミッシュ』はやな、実は、その牧歌的生活状況を見ると、清新潔白な生活をしとる想像してまうが、でも内情はチャウらしいんや」
「ありゃ、それじゃったら、まるでアンタじゃないん?西洋美術史を勉強しようと、オープンカレッジの授業を受講したんは、博識で知的好奇心が強いからじゃあと思わせといて、ホンマは、美人講師目当てで、教室の最前列に席を取り、美人講師が飛ばした唾を舐め回したりしたんじゃろ?」
(参照:【設立?】ビエール・トンミー氏を応援する会[その3])
「あんなあ、もう一回云うとくが、『プロの旅人』みたいなくだらん妄想系のBlogが云うとること、真に受けんやないで。『アーミッシュ』がしとるんは、手の甲に飛んできたオナゴの唾を舐め回すような変態やないんや」
「やっぱり、唾を舐め回したんじゃね」
「『アーミッシュ』はや、近親相姦(鬼畜やな)、聖書者による性的虐待なんかが結構多いらしいんや。おまけに自分たちだけの狭い外部から隔絶した生活をしてるさかい、その被害を外部に漏らすこと、具体的には、『司直の手が入る』ことはのうて、全部同じ内部で秘匿されとるらしいんや。そもそも『アーミッシュ』の出生率は高うて、コミュニティは拡大傾向にあるのやそうや。つまりや、『その方面』もお盛んちゅうことやな」
「その点については、アンタは、清廉潔白なんじゃね、一応は」
「はああ?せやから、なんやて、その『その点については』とか『一応』は、いうんは?云うまでもあらへんが、ワテは、鬼畜なことはしてへんで」
「そうようなことするとは思うとらんけえ。ほいでも、その『アーミッシュ』本で興奮しとるんじゃろ?」
「へっ!な、な、何云うねん!?」
「ほーら、動揺したじゃないね」
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「(しまった!また、iMessageで動揺を見せてしまった。アイツ、オゲレツなくせに頭は良くて、時々、こっちの痛いところを突いてくる)」
と、ビエール・トンミー氏は、iPhone 14 Proの画面に表紙された友人エヴァンジェリスト氏の戯けた顔を苦々しく見た。
(続く)