エヴァンジェリスト氏は、搭乗した飛行機で、スチュワーデス(CA)から、
「今日は、ハワイからですか?」
と、声を掛けられたことがあった。スチュワーデス(CA)は、憧れの(或いは、『一線』を越えた)同僚の機長と勘違いしたようであった。
「試験ですか?」
と、声を掛けられたこともあった。エヴァンジェリスト氏が、シショー・エヴァンジェリストに『講演』の仕方の指導する姿を、そのスチュワーデス(CA)が見たからであった。
いずれの場合も、スチュワーデス(CA)は、エヴァンジェリスト氏に特殊な感情を抱いたように見えた。
しかし、邪心のないエヴァンジェリスト氏は、彼女たちの『気持ち』に応えることはしなかった。
エヴァの友人であるビエール・トンミー氏がそこのことを知ったなら、
「もったいない!」
と、叫んだであろう。
そして、三度、
「もったいない!」
と、ビエール・トンミー氏が叫びそうな出来事が、エヴァンジェリスト氏の身に起きたのであった。
それは、2002年11月8日、長崎を11:35発のJAL184便でのことであった……..
一年中、出張ばかりしており、飛行機に乗り慣れているエヴァンジェリスト氏は、搭乗すると、離陸する前から着席したまま眠りに落ちる。
しばらくして、飛行機が水平飛行に入り、ベルト着用サインが消え、機内での飲み物サービスが始まる頃になると、目を覚ます。
いやしい男である。ジュースを飲みたいのであろう。エヴァンジェリスト氏はいつも、りんごジュースを頼むのだ。
まあ、ビエール・トンミー氏よりはマシであろう。
ビエール・トンミー氏も、水平飛行に入り、ベルト着用サインが消えた頃に目を覚ます。彼の場合は、飲み物目当てではなく、スチュワーデス(CA)目当てだ。ビエール・トンミー氏は、スチュワーデス(CA)の胸を見る。脚をみる。お尻も見る。助平爺め。
………2002年11月8日、長崎を11:35発のJAL184便でも、エヴァンジェリスト氏は、離陸前に眠りに落ち、飛行機が水平飛行に入って、ベルト着用サインが消え、機内での飲み物サービスが始まる頃に目を覚ました。
りんごジュースをもらい、飲み干すと、前の席の背からテーブルを下ろし、膝の上に置いていたiBookをその上に置き、仕事を始めた。
エヴァンジェリスト氏は後に(2016年に)、仕事依存症と診断されることになるが、この頃(2002年当時)、既に仕事とプライベートの別が殆どなく、寝ていない時は殆ど仕事をしていたのだ。
iBookで、メールを整理し、顧客提示用資料を作成していた。その時であった。
「iBookですか?」
突然、斜め後ろから、女性の声が聞こえてきた。
「?」
エヴァンジェリスト氏は、覗き込んでいたiBookから顔を上げた。
(続く)
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