2002年11月8日、長崎を11:35発のJAL184便でのことであった。
エヴァンジェリスト氏は、離陸前に眠りに落ちていたが、飛行機が水平飛行に入り、ベルト着用サインが消え、機内での飲み物サービスが始まる頃に目を覚ました。
りんごジュースをもらい、飲み干すと、前の席の背からテーブルを下ろし、膝の上に置いていたiBookをその上に置き、仕事を始めた。
iBookで、メールを整理し、顧客提示用資料を作成していた。その時であった。
「iBookですか?」
突然、斜め後ろから、女性の声が聞こえてきた。
「?」
エヴァンジェリスト氏は、覗き込んでいたiBookから顔を上げた。
「iBookですか?」
そう声を掛けてきていたのは、スチュワーデス(CA)であった。彼女は、エヴァンジェリスト氏の席の横に立った。
「ええ」
「いいですよねえ。アタシ、迷ったんです。Windows使ってるんですけど、iBookに切換えようかと思って……..でも、何か、勇気がなくって…….」
スチュワーデス(CA)は、小首を傾げた。
「ああ」
「いいんでしょう?」
スチュワーデス(CA)の言葉遣いは、もうスチュワーデス(CA)のそれではなくなっていた。
「ええ、いいですよ」
「使い易いんですよね。使っている人に訊くと皆、そう云うんですう」
『ですう』と、恋人に対して、とまではいかないものの、親しい人に対する物の言いようであった。
(続く)
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