ある時、搭乗した飛行機の中で、
「今日は、ハワイからですか?」
と、スチュワーデス(CA)に声を掛けられ、エヴァンジェリスト氏の頭は、混乱した。
「ハワイ?ハワイから?今日は?」
いや、『ハワイから』ではない。いやいや、スチュワーデス(CA)は本当に『ハワイ』と云ったのか?自分の聞き間違いではないのか?しかも、自分は、そのスチュワーデス(CA)のことを知らない。
頭は混乱したまま、
「は?」
と反応すると、
「は!?....し、失礼しました」
と、スチュワーデス(CA)は、そそくさと後方に去って行った。
どうやら、自分の知っている顧客(常連の搭乗者)と勘違いしたのだと思えた。
しかし、だ。
「今日は、ハワイからですか?」
というスチュワーデス(CA)の口のききかたが気になった。
そのスチュワーデス(CA)の口のききかたは、ただ見知っている顧客(常連の搭乗者)に対するものとは違っていたように思えたのだ。
あのスチュワーデス(CA)の口のききかたは……….
「今日は、ハワイからですか?」
というそのスチュワーデス(CA)の口のききかたは、ただ知っている顧客(常連の搭乗者)に対するものではなかった。
もっとフランクな言い方であったのだ。
「今日は、ハワイからですか?」
というの口のききかたはそう、同僚に対するもののようであったのだ。
同僚といっても、スチュワーデス(CA)ではない。
エヴァンジェリスト氏は、女性ではないのだ。女装している訳でもなかった。『CA』には、女性だけではなく男性もいるが、『スチュワーデス』(今は使ってはいけない言葉なのであろうが)は、女性なのだ。
多分、あのスチュワーデス(CA)は、自分のことを同僚のパイロット(機長か、副操縦士)と見間違えたのだ。
エヴァンジェリスト氏はいつも、濃紺無地のスーツを着、濃紺無地のネクタイをしていた。その姿は、制服を着ているように見えたのかもしれないのだ。
そして多分、顔も、あのスチュワーデス(CA)の同僚のパイロットに似たところがあったのであろう。
だから、機内通路を前方から来た時に、自分の知る同僚のパイロットが搭乗していると思ったのではないか、そう思えたのだ。
エヴァンジェリスト氏が後方席に座っていたことも勘違いを生む要因であったかもしれない。
航空会社の社員(パイロットやCA)が、仕事で移動するにあたり自社便に乗る際は、後方の真ん中の席に座る。
制服っぽいスーツを着、後方席に座り、しかも、イケメン(当時の表現だと、ハンサム)・パイロットのような顔立ちをしていたエヴァンジェリスト氏を同僚のパイロットと、あのスチュワーデス(CA)は、見間違えたのではないかと思われる。
ひょっとすると、ただの同僚パイロットと人違いをしたのではなく、憧れの機長と見間違えたのかもしれない。
「は!?....し、失礼しました」
と、そそくさと後方に去って行ったスチュワーデス(CA)の顔は、赤くなっていたのだ。
いやいや、それは……….憧れの機長と見間違えたのではなかったかもしれない。「一線」を越えてしまったことのある機長と見間違えたのかもしれなかった。
まあ、何にせよ、
「今日は、ハワイからですか?」
と声を掛けられたのは、人違いをされたからであったが、エヴァンジェリスト氏は、人違いではなく、スチュワーデス(CA)から声を掛けられたこともあった。
それは、『シショー』と一緒の時であった。
(続く)
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