JANA機内スチュワーデス(CA)が歩く際のふくらはぎの動きが、堪らず、
「舐めたい」
と、思わず、心の中でそう呟いたが、それに留まらず、
「ペロペロ」
ブラインド・タッチで、ビエール・トンミー氏の指は、キーボードをそう叩いていた。
だが、忘我のビエール・トンミー氏の視線が止まった。スチュワーデス(CA)の美脚が歩みを止めたのだ。
白蛇の指のスチュワーデス(CA)は、ビエール・トンミー氏の数列前の席の横で美脚の歩みを止めた。
ビエール・トンミー氏は、凝視していたスチュワーデス(CA)のふくらはぎから、視線を上げた。
スチュワーデス(CA)が横顔を見せた。そして、ピンクの唇が、スローモーションのようにゆっくり、ゆっくり、ゆっくり開いていった。
「舐めたい」
と、ビエール・トンミー氏は、またまたまた、思わず、心の中でそう呟いた。
そして、ビエール・トンミー氏は、自分の口も半開きにした。
半開きのビエール・トンミー氏の濁った茶色の唇の間から、湿った赤茶色の毒蛇のようなものが、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくりと頭を出してきた。
毒蛇は、体をくねらせ、ビエール・トンミー氏の唇に吸い付き、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり唇を舐め、周っていった。
毒蛇は、ビエール・トンミー氏のノートPCのキーボードが、『カタカタ』と鳴っていたことに気付かなかった。
「ペロペロ」
ブラインド・タッチで、ビエール・トンミー氏の指は、三度(みたび)、キーボードをそう叩いていたのだ。
(続く)
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