2018年8月13日月曜日

夜のセイフク[その35]





エヴァンジェリスト君は、ビエール・トンミー君が思った以上に、『ブラック・ホール』な存在であった。

冊子『何会』に『土埃が舞い込むその時、知っていた….』という『詩』のようなものが掲載された翌週であった。

ビエール・トンミー君は、

「『何会』は解散したよ」

とエヴァンジェリスト君に告げられたのだ。



1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室である(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)。昼休みであった。

「(『何会』に入ったつもりはなかった……なのに….)」

入ったつもりではなかった『会』を勝手に解散されてしまい、がっかりする自分を知った。

「(何者なのだ、エヴァ君は……)」

自分の意思とは無関係に翻弄されるのだ。得体の知れぬ友人に吸い込まれていってしまっている。

「『ブラック・ホール』….」

と、思いを思わず口にした時であった。

「今度は、『トーダイに入る会』だからね」

美少年な『ブラック・ホール』は、想定外のものを吐き出してきた。


(続く)



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