2018年8月23日木曜日

【突撃取材】『ガルウイング』は、あなたに?



「知らん、知らん!」

エヴァンジェリスト氏は不機嫌だ。

「こちらは分かっているんですよ。確認しているだけなんですよ!」

記者風の男は、怯まず訊く。

「もう一度、訊きます。『ガルウイング』は、あなたのものになるのですか?」
「ワシは、『ベンチ』はいらん!」



「へっ!くだらない冗談ですね。でもその冗談が、『知っている』証拠ですよ。『ガルウイング』って、『ベンツ』だと知っていて、『ベンチ』なんてツマラナイ冗談で誤魔化そうとしたんでしょう」
「ノーコメントだ!」
「まき子夫人のあの発言は、あなたへのメッセージなんでしょ?」
「君は、何のことを云っているのか?」
「昨日(2018年8月22日)の松屋銀座での石原まき子さんの発言ですよ。『石原裕次郎の軌跡』展の開幕のセレモニーで、舘ひろしが、石原裕次郎の形見のメルセデスベンツの300SLガルウイングをまき子夫人におねだりしたことはご存じでしょ?」
「何!?舘さん、そんなことを?」
「ほほー、得意のお惚けですか?舘ひろしが、おねだりしても、まき子夫人は、『そうはいかない』と即、却下したのですよ。ご存じのくせに」
「ほー、そうなのか。そりゃ、まあ、そうだろうな。『ガルウイング』は、裕さんのお気に入りだったものな」
「『裕さん』?へへー、あなた、石原裕次郎さんのことを『裕さん』って呼んでるんですか?そんな仲だったんですか?」
「いや、裕次郎さんとは面識はなかった」
「ということは、やはり、まき子夫人との関係なんですね?」
「いや、自分は、仕事で何度も新潟、長岡に行ったことはあるが、マキコさんとは会ったことはないぞ」
「ケッ!私を揶揄っているんですか!誰が、田中真紀子のことを話してるんですか!」
「ええい!田中真紀子であろうと、石原まき子であろうと、そんなことはどうでもいい。ワシに構うな!」
「逆ギレですか?分かっているんですよ。まき子夫人が、舘ひろしのおねだりを断ったのは、あの『ガルウイング』をあなたに譲るつもりだからだっていうことは!」
「知らん、知らん!」
「『ガルウイング』をあなたに譲るから、そろそろ石原プロに入って頂戴、というメッセージなんですよ、あの発言は」
「え?そうなのか….いや、知らん、知らん!」
「あなた、今、会社からの特命任務をしているから、直ぐには会社を辞められないんでしょ」
「うむ….」
「でも、来年(2019年)の4月であなたも65歳だ。再雇用も満了で、はれて自由の身となる。だから、まき子夫人としては、来年の5月からは、石原プロに入って欲しい、あの『ガルウイング』をあなたに譲るから、という意味だったんですよ、あの発言は」
「ノーコメントだ!」
「まき子夫人のあなたへのあんな深いメッセージをあなたは無視するんですか!?」
「五月蝿い!これ以上は、事務所を通してくれ!」
「分かっていますよ。あなたは、運転免許を持っていない」
「それがどうした?」
「だから、『ガルウイング』を運転することはできない」
「そうはそうだが….」
「しかし、奥様は運転免許をお持ちだ。しかも、長年、というか、結婚して此の方、クルマを持ったことがなく、そのことがエラクご不満だ」
「む…….」
「じゃあ『ガルウイング』をもらえればいいか、というと、奥様は、『ジャガー』好きだから『ベンツ』はお気に召さない」
「君は、やけにウチの事情を知っているなあ…..怪しいなあ」
「そんなことはどうでもいい。要するに、あなたは石原プロ入りをするんですか?!」
「いやいや、怪しい。君は、ひょっとして…..」
「私のことなんかどうでもいい!あなた、来年5月には、石原プロ入りするんんでしょ?」
「ああ、分ったぞ!君は、ビエール・トンミーの回し者だな!」
「ノーコメントだ!」
「ビエールの奴、自分はもう4年前から完全隠居状態で退屈し切っているから、ワシの動向が気になってしようがないのだな。ワシが世から求めらることが気に入らんのか?!」
「ノーコメントだ!」
「君は、ビエールの犬だな!」
「ええい、失敬な!ノーコメントだ!五月蝿い!これ以上は、事務所を通してくれ!」

と云うと、記者風の男は、エヴァンジェリスト氏の許を去って行った。


(おしまい)





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