(夜のセイフク[その51]の続き)
「ええっ?.....何を?」
不意をつかれたビエール・トンミー君のは、自身の頭の上から降ってくる声の方を見上げ、訊いた。
「発表会さ」
エヴァンジェリスト君は、いつものように標準語で話し掛けてきていた。
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室である(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)。昼休みであった。
「発表会?」
「この前のホームルームで石橋先生が仰ったじゃないか」
「ああ…..」
ビエール・トンミー君は、1年7ホームの担任の『石橋基二』先生が、ホームルームの時間で、任意で作ったグループでなんらかの発表をしてもらう会を開く、と宣言されたことを思い出した。
「『東大に入る会』では、ドラマをするからね」
「ドラマ?」
「ああ、ドラマさ。放送劇だ」
「ほ、放送劇….」
「テープに録るのさ」
「ああ…」
「でね….ふふ….主演は君さ。ふふ」
「えっ、えっ、ええー!」
(続く)
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