(夜のセイフク[その37]の続き)
「(『君も東大に入れるよ』って…….)」
ビエール・トンミー君は、エヴァンジェリスト君の言葉に引っ掛かりを感じた。
「(『君も』ということは、自分は東大に入る、入れるつもりなのか!?)」
と疑問を感じたが、よく考えると、エヴァンジェリスト君なら東大に入れなくはないかもしれない、と思えた。
「(そうだ。エヴァ君は、ボクの次に優秀だ。彼なら東大に入れるかもしれない。そして、……..ふふ)」
ビエール・トンミー君は、何処かを見凝めながら、頬を緩めた。
「(「やはり、エヴァ君はさすがだ。彼は、ボクのことを分っている。ボクなら東大に入れるかもしれない。いや、入れるだろう!)」
その時、自分同様、美少年で成績優秀な友人が、自分の側から離れて行ったことにも気付かず、自分だけの世界に入って行っていた。
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室である(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)。昼休みであった。
「(東大に入るから、『東大に入る会』かあ。なるほど、今回の『会』は何の『会』かはっきりしていていいぞ)」
(続く)
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