2022年5月30日月曜日

【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方[その244]

 


トンミーくん、東京から来たん?」


『少年』、若き日のビーエル・トンミー氏は、隣席の男子生徒から、いきなりそう声をかけられた。


1967年4月、広島市立牛田中学校1年X組の教室であった。体育館の『思道館』での入学式を終えたばかりで、ビエール少年は、その隣席(右隣)の男子生徒の名前も知らなかったが、何故か、隣席の男子生徒は、ビエール少年の名前を知っていた。


「え?違うけど」


と、ビエール少年が、戸惑いながら答えると、


「アメリカから来たんじゃろ?」


今度は、左隣の女子生徒から、そう訊かれた。ビエール少年は、その女子生徒の名前も知らなかった


「は?違うけど」


ビエール少年は、更に戸惑った。


「冷蔵庫、大きいんじゃろ?」


左隣の女子生徒は、更に妙なことを云ってきた。


「は?」


美少年らしくなく、ビエール少年は、口を大きく開けたままにした。




「アンタんとこの冷蔵庫、大きいいんじゃろ?」


左隣の女子生徒は、ビエール少年の顔に自らの顔を近付けた。




(続く)




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