「トンミーくん、東京から来たん?」
『少年』、若き日のビーエル・トンミー氏は、隣席の男子生徒から、いきなりそう声をかけられた。
1967年4月、広島市立牛田中学校1年X組の教室であった。体育館の『思道館』での入学式を終えたばかりで、ビエール少年は、その隣席(右隣)の男子生徒の名前も知らなかったが、何故か、隣席の男子生徒は、ビエール少年の名前を知っていた。
「え?違うけど」
と、ビエール少年が、戸惑いながら答えると、
「アメリカから来たんじゃろ?」
今度は、左隣の女子生徒から、そう訊かれた。ビエール少年は、その女子生徒の名前も知らなかった
「は?違うけど」
ビエール少年は、更に戸惑った。
「冷蔵庫、大きいんじゃろ?」
左隣の女子生徒は、更に妙なことを云ってきた。
「は?」
美少年らしくなく、ビエール少年は、口を大きく開けたままにした。
「アンタんとこの冷蔵庫、大きいいんじゃろ?」
左隣の女子生徒は、ビエール少年の顔に自らの顔を近付けた。
(続く)
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