「エヴァさん、曲がれるよね?」
列のすぐ前にいた女性が振り向いて云ったその言葉を聞いた時、エヴァンジェリスト氏は、小学生ソフトボール・チームではライトで9番バッターであた自分は、いつも三球三振であったが、『曲がったことは嫌い』で『真っ向』勝負の結果なのだから悔いはない、と思った。
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「ブラックホールだ!」
ビエール・トンミー氏は、心の中でそう叫んだ。
1979年、上井草(正確には、住所は下石神井であったが)のエヴァンジェリスト氏の下宿でトイレでのことである。
トイレは、和式で、その和式トイレの便器には、白い便器カバーが被せられていた。
その便器カバーをを開けたくはなかったが、ビエール・トンミー氏は、白い便器カバーを左手で取り、思い切って持ち上げたのだ。
「ブラックホールだ!」
しかし、勿論、それは『ブラック・ホール』ではなかった。
『ブラック・ホール』なら、総ての物質をに見込んでしまうはずだが、その『ブラック・ホール』は、猛烈な臭気を吹き上げてきていたのだ。
そう、エヴァンジェリスト氏の下宿のトレイは、『汲み取り式トイレ』であった。いや、『汲み取り式便所』という方が、実態に即しているかもしれない。
「おおーっ!」
白い便器カバーを取ったビエール・トンミー氏は、余りの臭気に、気を失ってしまいそうになった。
「マズイ!このままでは、『ブラック・ホール』に吸い込まれる」
と、意識をなんとか持ち直し、ズボンの『社会の窓』を開けた(当時は、ソレをそう表現したものだ)。
そして、『窓』から『お宝』を取り出し(『お宝』は大き過ぎる程大きく、ビエール・トンミー氏は、それを『窓』から取り出すのにいつも苦労した)、『お宝』から、やや黄色がかった『水』を『ブラック・ホール』に放出した。
『水』は、『お湯』であったのか、湯気が出ていた。
(続く)
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