2018年2月10日土曜日

【曲がったことが嫌いな男】石原プロに入らない?入れない?[その1]



「エヴァさん、曲がれるよね?」

列のすぐ前にいた女性が振り向いて云ったその言葉に、エヴァンジェリスト氏の眼は、どこも見えている訳ではなかったが、点になった。


-------------------------------


1982年の冬である。

「エヴァさん、一緒に行ってくれない?」

オン・ゾーシ氏は、会社の同期だが4歳年上のエヴァンジェリスト氏に同行を依頼した。

「ああ、いいとも!」

森田一義アワー 笑っていいとも!』の放送が始まる少し前であったはずで、エヴァンジェリスト氏は、流行りの言葉を先取りした。




オン・ゾーシ氏の依頼が、『共犯』の依頼であることは分っていたが、快諾した。その申し出は、エヴァンジェリスト氏にとってもメリットがあったのだ。

オン・ゾーシ氏は、ニキ・ウエ子さんと行くクルマへの同乗を頼んで来たのである。

同期でスキーに行くことになったのだ。スキー場には、夜行バスで行くことになったが、オン・ゾーシ氏は、ニキ・ウエ子さんとクルマで行きたかった。二人は、付き合っていた。

付き合っていることは、秘密にしていた。しかし、オン・ゾーシ氏は、エヴァンジェリスト氏にはその秘密を明かし、同乗、同行を依頼したのだ。

エヴァンジェリスト氏は、男らしい男であった。

『男らしい』とはどのようなものであるのかは不明であり、エヴァンジェリスト氏が、本当に『男らしい』男であるかどうかは定かではなかったが、秘密を打ち明けられたら、その秘密を他人に明かすようなことをする男ではなかった。

エヴァンジェリスト氏は、『曲がったことが嫌いな男』なのである。

そのことを、オン・ゾーシ氏は知っていた。



(続く)


0 件のコメント:

コメントを投稿