「特派員の報告によると、あの『先生』は、お怒りだそうだ」
ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の講師が、『西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡るイタリア・フランスの美術を愛でる旅』なる旅行企画のゲラ刷りを見た際の反応を、エヴァンジェリスト氏は、iMessageでビエール・トンミー氏に知らせたのであった。
先生は一体何が、お気に召さないのだ?
「但し書を覚えていないのか?」
おお!ボクが付けたものではないが…….
『※ 但し、美人に限る。尚、40歳未満、20歳以上であること。
部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは通常のダブル・サイズ』』
のことか?
「鈍いやつだなあ」
???
あの先生は、美人だし….
「私はお会いしたことはないが、美しい方のようだな」
年齢制限もクリアしてるのだが….
「ああ、30歳台だそうだなあ」
ベッドは、キング・サイズの方がいいのかなあ?
「それは、君自身が、『通常』サイズで『用』は足りる、って云ったではないか、変態め!」
ボクが変態であることが、お気に召さないのかなあ….?
「うーむ、君は変態だが、イケメンだからなあ」
まあ、それは否定できない。では、あの先生は一体何がお気に召さないのだ?
「『チューセン』だよ」
『チューセン』?
「ああ、『チューセン』だ」
は!『希望者多数の場合は、抽選』となっていることか?
「そうだ。先生は、『抽選』に怒り心頭なのだ」
そうか!分った、分った。『無抽選』にしよう。いやいや、但し書の内容を変えよう!
「ほほー。やはり、『西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡るイタリア・フランスの美術を愛でる旅』は、君自身が立てた企画であったか」
いや、違う…ええい!もうそんなことはどうでもいい。先生は、『西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡るイタリア・フランスの美術を愛でる旅』に参加をお望みなのだろう。それも、ボクと同室になりたいのだろう。但し書は、こうしよう。
『※ 但し、ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師に限る。尚、部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは『用』を足すのに十分な通常のダブル・サイズ』
ハハハハハハハ!
「いいのか?そんな但し書にしていいのか、本当に?」
ああ、いいとも、いいとも!先生がソコまでお望みであるのを無下にはできないではないか。
「分った。では、アチラは断ることにしよう」
は?は?アチラ?
(続く)
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