そうか!分った、分った。『無抽選』にしよう。いやいや、但し書の内容を変えよう!
ビエール・トンミー氏は、エヴァンジェリスト氏からのiMessageにそう反応した。
「特派員の報告によると、あの『先生』は、お怒りだそうだ」
ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の講師が、『西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡るイタリア・フランスの美術を愛でる旅』なる旅行企画のゲラ刷りを見た際の反応を、エヴァンジェリスト氏は、iMessageでビエール・トンミー氏に知らせたのであった。
「『チューセン』ということにお怒りなのだ」
は!『希望者多数の場合は、抽選』となっていることか?
「そうだ。先生は、『抽選』に怒り心頭なのだ」
そうか!分った、分った。『無抽選』にしよう。いやいや、但し書の内容を変えよう!
『※ 但し、ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師に限る。尚、部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは『用』を足すのに十分な通常のダブル・サイズ』
とな。
「いいのか?そんな但し書にしていいのか、本当に?」
ああ、いいとも、いいとも!先生がソコまでお望みであるのを無下にはできないではないか。
「分った。では、アチラは断ることにしよう」
は?は?アチラ?
「そうだ。アチラだ。アチラの美人だ」
アチラの美人?
「あの『先生』よりも美人だ」
ええーっ!あの『先生』よりも美人だと!?
「ああ、彼女を見たら、君はきっと驚くであろう!」
おおー!それほどの美人なのか。そんな美人も参加申込をしてきているのか?
「そうなのだ。ただ、一つだけ『問題』がある」
え?なんだ。旅行費用の問題か?『抽選』のことか?そんなことなら、ボクがなんとかしてもいい。
「この変態め。あの『先生』も『無抽選』で、しかも費用も君の負担で参加させ、更に、アチラの美人もそうしようというのか」
まあ、お会いしてみないと分らないとは思うが、君がそこまでいう美人だったら……
「そうすると、『3名1室』とするのか?」
うーむ。3ピ….いや、『3名1室』も仕方あるまい。
「君の『カラダ』はもつのか?」
そこが問題だが、この際、頑張るしかあるまい。
「しかし、『問題』は、旅行費用のことでも、『抽選』のことでも、『3名1室』のことではないのだ」
はあ?では、一体何が『問題』なのだ?
(続く)
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