ビエール・トンミー氏は、友人であるエヴァンジェリスト氏から、ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師の他に、『西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡るイタリア・フランスの美術を愛でる旅』なる旅行企画に参加申込をしてきたもう一人の美人の写真を送られ、それを見て驚愕した。
おおおおおおおおおおおー!
「ほら、みろ」
ど、ど、ど、ど、どうして妻が…….
そう、もう一人の美人、ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師以上の美人は、マダム・トンミー、つまり、ビエール・トンミー氏の夫人であったのだ。
「君はどうするのだ?あの『先生』を選ぶのか?それとも奥様か?はたまた、『3名1室』を強行するか?」
いやいや、どれも無理だあ!あああああ、どうすればいいのだ!?どうしてくれるのだああ!!!!!!
エヴァンジェリスト氏に送るiMessageを打つビエール・トンミー氏の手が大きく震え、MacBook Airのキーボードが、カタカタと音を立てた。
「どうしたの、アータ?」
いきなり背後から声をかけられた。
ビエール・トンミー氏は、妻の方を振り向いた。
「いや、い、い、いや。なんでもない。いつものように、エヴァちゃんが、巫山戯たことを云ってきただけだ」
「ああ、エヴァンジェリストさんて、変な人ですものねえ」
「そ、そ、そうその通りだ。戯けた奴さ」
「でも、アータもエヴァンジェリストさんの影響でこのところ、少し変になってきたのじゃないの?」
「へ?」
「アータ、3月11日から3月24日まで、イタリアとフランスにいらっしゃるの?」
「ほ!?」
「『ほ!?』じゃないわよ。郵便受けにこんなチラシが入ってたわよ」
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西洋美術史研究家ビエール・トンミー氏と巡る
イタリア・フランスの美術を愛でる旅
旅行企画・実施『プロの旅行社』
内容:(原稿入稿待ち)
期間:3月11日(日)-3月24日(土)14日間
料金:2名1室=5,000,000円、1名1室=10,000,000円
ビエール・トンミー氏と同室(ダブルベッド)を希望の場合=10,000,000円
※ 飛行機は、JANA便スーパー・ファースト・クラス。ホテルは、10☆デラックス・クラス。
【特別プランの特別料金】
ビエール・トンミー氏と同室!2名1室=50,000,000円(1人あたり)
ビエール・トンミー氏と同室!3名1室=50,000,000円(1人あたり)
※ 但し、美人に限る。尚、40歳未満、20歳以上であること。
部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは通常のダブル・サイズ』。
また、希望者多数の場合は、抽選。
添乗員:エヴァンジェリスト氏(現在、依頼中)
※ ビエール・トンミー氏のプロフィール
広島市立牛田中学卒業、広島県立広島皆実高等学校卒業、ハンカチ大学商学部卒業(フランス語経済学『優』取得)。
オーテ飲料メーカー勤務(主として、システム部に在籍)。
10歳歳下の会社同僚女性と結婚(夫人は、マーケティング部所属で、Windowsの使い方を教えたことがきっかけで結ばれた)。
59歳で会社退職(オーテ飲料メーカーでは、60歳定年前の57-8歳くらいで退職し、後は、悠々自適の生活を送る社員が多い)。
現在、ハンカチ大学オープンカレッジ西洋美術史継続受講中(『インモー』が欧州庶民に与える宗教学的影響を中心に研究中)。
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「うっ….」
「何なのかしら、このチラシ。この旅行企画、何なの?アタシ、何も聞いていないわよ!」
「あ、いや、それは、ボクも….」
「しかも、チラシは後で、もう1枚入ってきたのよ。訂正版よ」
「へ?」
「『特別プランの特別料金』の但し書が、
『※ 但し、美人に限る。尚、40歳未満、20歳以上であること。
部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは通常のダブル・サイズ』。
また、希望者多数の場合は、抽選。』
から
『※ 但し、ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師に限る。尚、部屋は、特別貴賓室。でも、ベッドは『用』を足すのに十分な通常のダブル・サイズ』
に変ってたのよ。どういうことかしら?『ベッドは『用』を足すのに十分な』の『用』って何?」
あっ、それは…..
「それよりも、誰なの、『ビエール・トンミー氏が慕うある西洋美術史の美人講師』って!?」
いやあ、それはそのお…..
(続く)
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