「トゥルントゥ」
風呂の脱衣場に置かれた洗濯機の前に立つビエール・トンミー氏のiPhone X で、着信音『ハロー』が鳴った。
「(は?)」
着信音『ハロー』を設定しているのは、友人のエヴァンジェリスト氏からのiMessageだ。
「(アカプルコにも別荘を持とうかと思う、とか、またどうせクダラン話だろう)」
エヴァンジェリスト氏は最近、分不相応にも、別荘を持ちたい、と云い出していたのだ。
「(実兄とあんなiMessageのやり取りをするとは、貧乏なくせに暇な奴だ)」
ビエール・トンミー氏は、以前、エヴァンジェリスト氏が勝手に送ってきた、その実兄(エヴァンジェリスト氏は、次兄であるその兄を『ヒモ君』と呼んでいた)とのiMessageのやり取りを思い出す。
=========================
(エヴァ)軽井沢と鎌倉に別荘を持とうと思います。
(ヒモ君)期待しています。『テンシ』子さん[ヒモ君の奥さん、エヴァの兄嫁である]と二人でお邪魔したいです。
(エヴァ)ああ、いつでも使って下さい。シドニーにも持ちますから、そちらも。
(ヒモ君)益々期待が膨らんできます。
(エヴァ)ヨーロッパにもどこか持ちます。
(ヒモ君)『テンシ』子さんと二人で行sく、行く!
(エヴァ)海外に行く場合には、ボクのプライベート・ジェットを使って下さい。
・
・
・
=========================
エヴァンジェリスト氏と彼の次兄である『ヒモ君』とのiMessageでのやり取りをそこまで読み、
「(エヴァの奴もエヴァの奴だが、あの男にして、あの兄あり、というところだなあ)」
と思ったことも思い出した。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿