「君が欲しいのは、この画像か?」
エヴァンジェリスト氏からのiMessageには、そうあった。金髪の外国人女性が全裸で仰向けになり、正面を見据え、右手を上にあげかけ、左手も何か動かそうとしている状態の画像である。録画されたNHKの番組『ヒューマニエンス』の『”体毛”を捨てたサル』の画像キャプチャーである。
「あっ、ついにビデオ見たな。そうだ、この写真だ。正確にいうとこの直前から『ブツ』は映ってたと思う。ボクは、コマ送りで詳細に確認したからな。NHKも変わったもんだ」
ビエール・トンミー氏は、眼の前にあるバスローブが中で回る洗濯機の音も忘れ、エヴァンジェリスト氏に、そう返信した。エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏の勧めに応じ、『ヒューマニエンス』の『”体毛”を捨てたサル』の再放送を録画していたのだ。
「番組を全部見たんじゃない。肝心の箇所だけを探したんだ。女房がいて、リビング・ルームのテレビではキャプチャーできないから、自分の部屋で『お部屋ジャンプ』で再生して、写真に撮ったんだ。『お部屋ジャンプ』では、コマ送りできないんだ。苦労しているんだぞ。君が、録画したのを消してしまった、と嘆いていたからな」
エヴァンジェリスト氏は、勿体をつけてきた。
「ああ、有難い。君に感謝する」
ここは、下手に出るしかない。
「『”体毛”を捨てたサル』は、BD(ブルーレイディスク)に焼いておく。いつか新型コロナ騒動が収まり、君と再会できた時に、渡す」
「おお、そうか、そうか。本当に有難う!」
(続く)
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