2017年4月27日木曜日

トラック野郎は、俺だ!(中編)【変態老人の悪夢】





「アータ、起きてえ。そろそろお昼にするわよ」

という妻の声に目覚めたビエール・トンミー氏であったが、快感と良心の呵責とが入混ざった複雑な感覚に、ベッドからしばらく立ち上がることができなかったのであった。

「トラック野郎になっていた.....」のであった。




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デコトラの助手席に『彼女』は座っていた。

俺は、運転しながら、『彼女』の膝もとにばかり目がいっていた

もっと前を見て運転しないとまずい、とは思ったが、『彼女』の脚が気になって仕方がなかったのだ。

セツ子は(『彼女』のことだ)、かなり短めのミニスカートをはいていた。

いつから『彼女』は、助手席に座っていたのだろうか。

俺は、夢の中で記憶を辿った。

夢の中に記憶というものがあるものなのか疑問ではあったか、俺は思い出した。

地方の街道の左側の路肩を『彼女』は、歩いていた。

左手に一足のハイヒールを持っていた。裸足でつま先立ちに近い歩き方であった。ややふらついていた。

そして、気付くと、『彼女』は、俺のデコトラの助手席に座っていたのだ。

多分、俺はデコトラを止め、『彼女』に声をかけたのであろう。

「お嬢さん、どうなさいました?」

そして、ハイヒールが壊れたのなら、何処か靴屋のあるところまでお送りしましょう、とでも云って、『彼女』をデコトラに乗せたのであろう。

そこまで夢を思い出し、俺は赤面した。誰が見ている、というでもないのに。

壊れたハイヒールを持ち、ふらふらと歩く『彼女』は、やや刺激的な丈のミニスカートだったのだ。

その後ろ姿には、清純だが、色気があった。顔は見えなかったが、俺の中のなにがしかの期待が固く、膨らんだ。

だから、声をかけたのだ。

目覚めた今も身体のある部分に、通常の状態とは異なるある変化が見られた。

例え夢のことであろうと、嘘はつけない。

俺には、ああ、下心があった。

そして、助手席に座った『彼女』の顔は、その下心の期待に違わぬものであった。

清純だか色気を漂わすミニスカートの後ろ姿そのままの顔立ちであった。

少女のようだが、どこかオトコを惑わす愁のある顔立ちであった。

可憐だ、綺麗だ、セツコ…….





『彼女』は、名乗ってはいなかったが、何故か俺は『彼女』がセツコであることを知っていた。

『彼女』は、名乗らないだけではなく、一口も口をきいていなかった。

デコトラに登ってくる時も、そして、助手席に座ってからも、「有難う」の言葉一つ、『彼女』からはなかった。

しかし、失礼とは思わなかった。それよりも、助手席に座ったことにより、より伸びやかに見える『彼女』の脚のことが気になって仕方なかった

「誘っているのか、セツコ…..セツコ….」

と声にならない呟きを吐きながら、俺はふと思った。

「何故、セツコなんだ?......いや、『彼女』を俺は知っているぞ」

そうだ、俺は『彼女』を知っていた。

『彼女』は……….


(続く)






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