ホテルの部屋のベッドで裸になったビエール・トンミー氏は、JANAのスチュワーデス(CA)を引き倒し、唇を塞ごうとした。
しかし、引き倒した女に、
「アータ、どうしたの素っ裸になって?」
と訊かれ、彼女の顔をよく見ると、なんと、妻であった。
「彼女にマッサージをしてもらっていた。彼女には体をほぐしてもらっていただけ」
と誤魔化したものの、妻に訊かれた。
「彼女?だれ、それ?」
そんな事情を、ビエール・トンミー氏は、エヴァンジェリスト氏にiMessageで知らせて来たのだ。
エヴァンジェリスト氏は、2018年1月2日、20:05発「福井空港」行のJANA1919便の機内にいた。
絶体絶命だな…….エヴァンジェリスト氏は、冷静に返信した。
「だが、ボクは呟いた。『夢か….夢だったのか…..』と。そして、気付いたのだ。ボクは、出張中の飛行機の機内でスチュワーデス(CA)で出会ったのだが、自分はもうリタイア(退職)しているのに、出張なんかするはずがなかったのだ。しかも、君が同じ飛行機に乗っているのも、偶然過ぎた。それに、そもそも『JANA』なんて妙であったのだ!JALでもない、ANAでもない。JALとANAを合わせたような、そんな適当な名前の航空会社は、今も昔もありはしなかったのだ」
スチュワーデス(CA)の泊まるホテルの部屋に行くまで、妙なことに気付かなかったとは迂闊であったな。
「問題は、そういうことではない。君も気をつけることだ。そうしないと、ボクと同じ目に遭うぞ」
同じ目?
「君は今、夢を見ているのだ」
ビエール・トンミー氏のiMessageは続いた。
「君は今、20:05発「福井空港」行のJANA1919便に乗っている」
ああ、そうだが……
「しかし、JANAなんて航空会社が実際には存在しないことは既に教えた通りだ。そして、もっと妙なことがあることに君は気付いていない」
何のことだ?
「行先だ。『福井空港』なんて、ありはしないのだ!福井に飛行機で行く時は、小松空港を使うのだ。小松空港と福井との間には、ちゃんと空港バスだってあるのだ。京福バスだ。小松空港は、石川県の為だけの空港ではないのだ。小松空港には、福井県のアンテナショップがあるくらいなのだ。『恐竜王国福井』の広告だって見たことがあるぞ」
テレビ東京の『YOUは何しに日本に?』でも見て学んだのか?
まあ、福井が、『恐竜王国』であるのは、確かだ。福井駅前には、『恐竜』がいるしな。
「そんなことはどうでもいい。問題は、君はありもしない『福井空港』行の飛行機に乗っているのだ」
ふん。フフ……
「なんだ!その態度は!友だから忠告しているのに」
(続く)
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