「使い易いんですよね。使っている人に訊くと皆、そう云うんですう」
2018年1月2日、20:05発「福井空港」行のJANA1919便のスチュワーデス(CA)の一人が、エヴァンジェリスト氏にそう声を掛けて来た。
エヴァンジェリスト氏が使っているMacBookProを見て、堪らず声を掛けたのだ。
エヴァンジェリスト氏は、声を掛けて来たスチュワーデス(CA)が、自分が使っているのが、MacBookAir、MacBookではなく、MacBookProとよく分ったものだとは思った。
しかし、エヴァンジェリスト氏は、理解していた。自身が置かれた時空を理解していたのである。
「使い易いんですよね。使っている人に訊くと皆、そう云うんですう」
「ええ、使い易いですよ。全然違います」
エヴァンジェリスト氏hは、冷静に答えた。
「ですよねえ。いいなあ」
スチュワーデス(CA)は、完全に自分の立場を忘れていた。彼女の姿を見ず、その言葉を聞いただけであれば、周囲の乗客は、OLが憧れの上司に甘えている、と思ったであろう。
「アタシ、迷ったんです。Windows使ってるんですけど、MacBookProに切換えようかと思って……..でも、何か、勇気がなくって…….」
スチュワーデス(CA)は、口を尖らせた。
「機会があれば、切替えて下さい」
「ええ…………」
機会があれば私がセットアップもお手伝いしますし、その後も分らないことがあればサポートしますよ、とは、常識を持ち、理性のあるエヴァンジェリスト氏は云わなかった。
エヴァンジェリスト氏は、自分は、友であるが変態のビエール・トンミー氏と自分とは違うのだ、と思った。
ビエール・トンミー氏も、飛行機に乗ると、水平飛行に入り、ベルト着用サインが消えた頃に目を覚ます。彼の場合は、飲み物目当てではなく、スチュワーデス(CA)目当てだ。ビエール・トンミー氏は、スチュワーデス(CA)の胸を見る。脚をみる。お尻も見る。助平爺だ。
そんなビエール・トンミー氏が、まあ、あり得ないことであるが、スチュワーデス(CA)から、
「アタシ、迷ったんです。Windows使ってるんですけど、MacBookProに切換えようかと思って……..でも、何か、勇気がなくって…….」
と云われたら、まず間違いなく、
「機会があれば私がセットアップもお手伝いします」
と云ったであろう。
いや、まあ、そんなセリフを吐いて、ビエール・トンミー氏が、スチュワーデス(CA)の泊まるホテルの部屋まで入り込んだことも知ってはいるのだ。
しかし、常識を持ち、理性のあるエヴァンジェリスト氏は、
「機会があれば、切替えて下さい」
と云っただけであった。
「ええ…………」
と云ったまま、スチュワーデス(CA)は、エヴァンジェリスト氏の席の横にまだ立っていた。
(続く)
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