「Windowsって、どうして勝手に更新するんですか?」
と、今度は、Windowsに対する不満をぶつけて来たJANA機のスチュワーデス(CA)に、エヴァンジェリスト氏は、
「ああ、『Windows 10』ですね。それなら、『サービス』で設定すれば、自動更新ではなく、手動更新に切替えることができるようです」
と、淡々と、Windowsを殆ど使わないはずなのに、エヴァンジェリスト氏は、自動更新から手動更新に切替える手順を説明し始めた。
「なに、『サービス』って?そんなの知らないわ。でも、貴方、どうして、Windowsに詳しいの?Windowsは殆ど使っていないのに」
「ああ、私がWindowsを殆ど使わないことを貴女が知っているのと同じですよ。貴女が、初対面の一乗客である私のことを知っているようにね。ふふ」
エヴァンジェリスト氏は、不敵な笑みを浮かべた。
エヴァンジェリスト氏は、今自分がいる時空を知っていたのだ。
しかし、エヴァンジェリスト氏が、誰に対してということもなく一人、北叟笑んでいたところ、
「どうして、『エッチ』なの!?」
と、スチュワーデス(CA)のヒステリックな声に我に返った。
「?」
「どうして、Internet Explorerがなくなったの?」
「ああ、『エッジ』(Edge)ですね」
「Internet Explorerも大嫌っいだったけど、『エッチ』なんてものにするのも間違ってるわ。使えたもんじゃないわ!」
「ああ、そうですか。私は、Safariを使ってますからね」
「『エッチ』で、アドレスバーに文字を入れて検索すると、何あれえ!勝手に、『bing』で検索するじゃないの」
「まあ、『bing』もマイクロソフト提供ですからねえ」
「そんなこと、アタシには関係ないわ。『bing』だと、まともな検索結果が出てこないのよお!」
「だったら….」
エヴァンジェリスト氏は、面倒臭そうであった。
「だったら、そう、そんなにWindowsがお嫌でしたら、Macに切り替えたらいいのではないですか?」
「キラッ!」
エヴァンジェリスト氏の提案に、スチュワーデス(CA)の眼が光った。
「あら、そうですの?ムフ!」
エヴァンジェリスト氏は、淫靡な匂いというか、臭いに鼻を歪めた。
「そんなにMacへの切替をお勧めになるのなら……ムフ!」
スチュワーデス(CA)は、自分の体が蒸れてきているのを自覚していた。
『ブルルン!』
その時、エヴァンジェリスト氏のYシャツの胸ポケットが震えた。
(続く)
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