「アタシ、迷ったんです。Windows使ってるんですけど、MacBookProに切換えようかと思って……..でも、何か、勇気がなくって…….」
と、自分の立場を忘れ、エヴァンジェリスト氏にそう声を掛けたスチュワーデス(CA)は、口を尖らせた。
2018年1月2日、20:05発「福井空港」行のJANA1919便の機内である。
「機会があれば、切替えて下さい」
「ええ…………」
機会があれば私がセットアップもお手伝いしますし、その後も分らないことがあればサポートしますよ、とは、常識を持ち、理性のあるエヴァンジェリスト氏は云わなかった。親友にして変態であるビエール・トンミー氏とは違うのだ。
「Windowsって、使い辛いんですもの」
と、今度は、Windowsに対する不満をぶつけて来たスチュワーデス(CA)に、エヴァンジェリスト氏は、
「ああ」
と、気のない返事をした。
周囲の男の乗客たちは、美人なスチュワーデス(CA)に甘えるように話し掛けられている男に妬みの視線を向けていたが、エヴァンジェリスト氏のスチュワーデス(CA)に対する態度は、つれないものであった。
「Windowsって、どうして勝手に更新するんですか?」
「ああ、『テン』ですね?『わろてんか』の『てん』ではなく、『Windows 10』ですね?」
「ええ、『Windows 10』だわ。今(2017年度下期)やっている朝ドラの『わろてんか』みたく、つまんない『Windows 10』だわ」
「『Windows 10』なら、『サービス』で設定すれば、自動更新ではなく、手動更新に切替えることができるようです」
Windowsを殆ど使わないはずなのに、エヴァンジェリスト氏は、自動更新から手動更新に切替える手順を説明し始めた。
「なに、『サービス』って?そんなの知らないわ。でも、貴方、どうして、Windowsに詳しいの?Windowsは殆ど使っていないのに」
「ああ、私がWindowsを殆ど使わないことを貴女が知っているのと同じですよ。貴女が、初対面の一乗客である私のことを知っているようにね。ふふ」
エヴァンジェリスト氏は、不敵な笑みを浮かべた。
(続く)
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