「エヴァさん、曲がれるよね?」
列のすぐ前にいた女性が振り向いて云ったその言葉を聞いた時、エヴァンジェリスト氏は、変態である友人ビエール・トンミー氏に、「『曲がったことが嫌いな』君は、女性に(奥様以外の女性に)、『今日ね、抱きしめていい?縛っていい?』とストレートに云うのではないか」と後に訊くと、「『オッパイ触っていい?』も必須ワードだぞ』と言い返されることになることを、まだ知らなかった。
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1983年、エヴァンジェリスト氏は、『3.75畳』に『女』を連れ込み(いや、招き入れ)、ソレをする時、押入れの襖をキチンと締め、出来るだけ『女』に大きな『哭き声』を上げさせないよう気を付けることにした
安普請の下宿で他の部屋に聞こえるようにソレをしてはならない、と思ったのだ。
だったら、そもそもそんな安普請の下宿に『女』を連れ込まなければいいものであるが、
「不可抗力であった」
とエヴァンジェリスト氏は思う。
「だって、高熱が出ていたのだ」
1983年のその時、確かにエヴァンジェリスト氏は、高熱を発していた。
「辛い……熱がある。高い熱だ……」
エヴァンジェリスト氏は朦朧としたまま、下宿を出て、明治通り沿いにある近くの公衆電話ボックスにいた。
「だからあ、私にどうしろ、と云うの?」
電話の向こうの女性は、イライラしていた。
「いいんだ、いいんだよ。ボクは熱があって辛い。買い物もできない」
「分ったわよお!」
女性は、そう言い放つと電話を切った。
それから1時間半あまりしてからであろうか、エヴァンジェリスト氏の上池袋の『3.75畳』の下宿に、その女性はいた。
ジュースやら何やら食べ物を買って来ていた。
エヴァンジェリスト氏は、『3.75畳』ほぼ一杯に敷き詰められた布団に寝ていた。
女性は、他に座るところがなく、エヴァンジェリスト氏の寝る布団の端に膝を折って座った。
「大丈夫?」
「ダメだあ……死ぬう……」
「だったら、死ねば」
「うう…..」
「本当に熱あるの?」
「あるよ」
と云うと、エヴァンジェリスト氏は、女性の手を取り、自らの額に当てた。
「ま、熱いのは熱いわね」
と女性が云う間も無く、エヴァンジェリスト氏は、取った女性の手をグイッと引き、女性を自らの布団の中に引きづり込んだ。
「何するの!」
「いいから」
「いいからじゃないでしょ!」
「いいから」
と云うと、エヴァンジェリスト氏は、仰向けであった身を返し、女性の方を仰向けとした。
「やめなさい!」
(続く)
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