「君は、ビエール付なのに、そんなことも知らんのか」
エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏付の特派員を叱った。
「好きであんな変態の担当になった訳ではないんですう」
「アイツは、『マサ・オウーノ』教授が教鞭をとっていた教室の隣の教室で学んだのだ」
「ってことは、フランス国鉄『SNCF』のマーケティングについて語れるものでもないんですね?」
「ああ、アイツは、ハンカチ大学の商学部の出身だが、簿記も知らない。私の『ボキ、ボキ知りません』というギャグは、アイツに教わったのだ」
「では、ビエール・トンミー氏は、ハンカチ大学商学部で何を学んだのですか?」
「フランス語経済学だ。アイツは、フランス語経済学で『優』を取ったのだ」
「それは大したものですう」
「しかし、アイツは、フランス語では、『il』(彼)と『elle』(彼女)しか知らない」
「それで、どうして、フランス語経済学で『優』を取れるのですう?」
「友人に、フランス文学修士がいるのだ」
「ああ、貴方のことですね」
「間違えるではないぞ。替え玉受験をした訳ではない。アイツは変態だが、その頭脳は頭抜けているのだ。試験範囲のフランス語文章を和訳してもらったら、その内容を完璧に記憶できるのだ。そして、フランス語は全く理解できずとも、フランス語文章をイメージとして記憶することもできるのだ」
「なるほどですう」
「だから、試験問題で、イメージとして記憶したフランス語の文章が出てきたら、丸暗記した和訳を書く、という仕掛けだったのだ」
「では、何故、ビエール・トンミー氏は、『SNCF』のことは知っていたのですう?」
「フランス語経済学の試験に『SNCF』が出てきたのだ。勿論、アイツは、『SNCF』が何か理解していなかった」
「でも、『SNCF』という文字というか、その文字のイメージは記憶していた、ということですね?」
「ああ、驚異の記憶力だ」
「でも、要するに、ビエール・トンミー氏は、『この朝日の記事はおかしい。日本における『SNCF』の最高権威である私に何の取材もしていないから』とは云うものの、朝日新聞の取材を受けても何も語れないのですね。ビエール・トンミー氏も大した人ではないですう」
「アイツをなめたらアカン。もう一度云うが、アイツは変態だが、その頭脳は頭抜けているのだ。朝日新聞から『SNCF』についてのコメント求められたら云うであろう、『ノー・コメントだ。事務所を通してくれ』とな」
「おおー!なるほどですう」
(おしまい)
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