「君という男は…….」
ビエール・トンミー氏は、iPhone X でiMessageを打ちながら、首を横に振った。
「(なんだ?な、なんなんだ?)」
エヴァンジェリスト氏の心中の返信は、動揺を見せた。
「ギアクシャめ!」
「『ギアクシャ』?」
「そうだ、偽悪者だ」
「(意味が分からん)」
「OK牧場大学大学院文学科フランス文学専攻の文學修士である君が、『偽悪者』を知らん訳がなかろう」
「(文學修士なんて、何の役にも立たん)」
「君はしかも、心理小説の大家であるフランソワ・モーリアックを研究したのだ」
「(それがどうした?)」
「君が、65歳以降も講演活動を続けるのは、ただ金の為だけではない!」
「(うっ……)」
「君は、ボクに社団法人設立を薦めた。若い人たちに『ヘンタイ』文化を根付けさせる為、とな」
「(…ああ、それはもういい…..)」
「誤魔化すな!講演活動も、社団法人設立も、君には、ある考えあってのことなのだ」
「(だから、もういいのだ….)」
「ふん、偽悪者め!君は、若い人たちに云いたいのだ。若い人たちにわかって欲しい、変って欲しいのだ」
「(いや、金目当てだ。生活費を稼がなくてはいけないのだあ!)」
(続く)
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