(住込み浪人[その2]の続き)
「去年も屈辱だったが、今年は屈辱どころか、もう死んでしまいたいくらいだ」
浪人生ビエール・トンミー青年は、布団から上半身起こしたまま、頭を掻き毟った。
「ハンカチ大学の『寮』にいた方がマシだった」
ビエール・トンミー青年は、前年は、ハンカチ大学構内にある『寮』にいた。そこで、浪人生活を送っていたのだ。そこは、浪人生専用の『寮』であった。
「大学構内に浪人生専用の『寮』があるなんて知らなかった」
ビエール・トンミー青年に限らず、多分、世の誰も、大学構内に浪人生専用の『寮』があるなんてことは知らなかった。今だって知らないであろう。
「自分が入りたい大学の構内に住みつつ、そこで浪人生活を送るなんて思いもしなかった」
ビエール・トンミー青年は、自分の知らぬ間に、ハンカチ大学構内にある『寮』に入ることになっていた。当時、親は、広島にいたので、東京で浪人をするなら、どこかに下宿する必要はあった。親が、『寮』に入るよう手配してしまったのであったろうか?
「しかも、どうして、あんなことまでしないといけないんだ!?」
ビエール・トンミー青年は、憤慨した。
(続く)
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