研究室棟の西側、学生食堂の北側の木々の生い茂る敷地の中に、それはあった。
「ふぁあーあ」
布団から上半身だけ起こした男は、欠伸をしながら、木枠の窓から差し込む木洩れ陽に目を細めた。
「(また、朝が来たか….)」
と思ったが、時計を見ると、もうお昼近い時間であった。
「わっかき陽がのぼーる時!」
外からこの大学のカレッジ・ソングが聞こえて来た。
「ふん、『若き陽』を自分の大学の中で唄うなんて、恥ずかしい」
男がいるのは、四田にあるOK牧場大学構内にある『寮』の部屋であった。
「しかし、何故、今年は、OK牧場大学にいないといけないのだ?」
自分がいるのは、OK牧場大学構内にある『寮』である認識はあったが、何故、そこにいるのかの認識はなかったのだ。
「みやこおーのどこおかーのハンカチーの里にい!」
男は、ハンカチ大学の校歌をハミングした。
(続く)
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