2019年2月25日月曜日

住込み浪人[その8]







「書けたあ…..」

自らの掌に漢字を書いた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、ため息をついた。

「『オコタル』は、『怠る』さ。そのくらい書けるさ」

他の『住込み浪人』二人が、同い年のOK牧場大学の1年生に漢字の書き取りの指導を受けているのを見ていたのだ。

「じゃあさあ、『オコガマシイ』って書けるかなあ?」

OK牧場大学の1年生は、口の端を歪め、『住込み浪人』二人に対して嘲るような言い方をした。

「(『オコガマシイ』?)」

ビエール・トンミー青年は、両方の黒目を上げた。



「あれ、誰かいるの?」

OK牧場大学の1年生が、振り向きながら云った。


(続く)



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