(住込み浪人[その7]の続き)
「書けたあ…..」
自らの掌に漢字を書いた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、ため息をついた。
「『オコタル』は、『怠る』さ。そのくらい書けるさ」
他の『住込み浪人』二人が、同い年のOK牧場大学の1年生に漢字の書き取りの指導を受けているのを見ていたのだ。
「じゃあさあ、『オコガマシイ』って書けるかなあ?」
OK牧場大学の1年生は、口の端を歪め、『住込み浪人』二人に対して嘲るような言い方をした。
「(『オコガマシイ』?)」
ビエール・トンミー青年は、両方の黒目を上げた。
「あれ、誰かいるの?」
OK牧場大学の1年生が、振り向きながら云った。
(続く)
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