「(はは~ん。そうかあ、そういうことかあ。なんか変だなあ、とは思ってたんだ)」
すっかり落ち着きを取り戻したビエール・トンミー氏は、iPhone X で、エヴァンジェリスト氏のiMessageを見ながら、頷いた。
「君は、『ビエール・トンミー氏を応援する会』を設立するだけでは足らず、社団法人も設立するつもりであろう」
ビエール・トンミー氏の変化に気付かぬエヴァンジェリスト氏は、攻撃を続ける。
「ふん!何の社団法人だ?」
ビエール・トンミー氏は、心中ではなく、リアルにiMessageで返信した。
「云うまでもあるまい。若い人たちに『ヘンタイ』文化を根付けさせる為の団体だ。君は、『ヘンタイ』文化普及の講演活動もするつもりであろう」
「ほほー、まるで、君のようにかね?」
「ん?」
「君は今、全国で『講演』をしているではないか」
「ん、まあ、そうだが……」
「しかし、君は、来たる(2019年の)4月末で再雇用も満了となる」
「ああ、ようやく君と同じ完全リタイアだ」
「ふふ、そうなるのかなあ?本当に完全リタイアできるのか?」
「うっ…..な、な、なんだ?」
「君は、59歳と11ヶ月にして、ようやく賃貸住まいを止め、中古マンションを購入した」
「ああ、終の住処を得た」
「しかし、そのマンションを購入するのに、後付けの頭金として、60歳になって直ぐ確定拠出年金(401K)を全額おろし、使ってしまった」
「そ、そ、それがどうした!」
「だから、君には、年金の3階建て部分、つまり、企業年金がない」
「仕方なかったのだ….」
「更に、住宅ローンが80歳まである」
「ダンシン(団体信用保険)が通っているから、死んだら住宅ローンはチャラになる」
「だから、君は誰彼構わず、自分を殺してくれ、と頼んでいる」
「ああ、必殺仕事人のように、後ろから針一突きでな」
「しかし、誰が、君の為に殺人者になるものか。それに、『憎まれっ子世に憚る』だ。君は、長生きするだろう。家系的にも長生きであろう」
「そうだ、チクショー!」
(続く)
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