(うつり病に導かれ[その9]の続き)
「陰性です」
ドクトル・ギャランドゥは、患者を見ないように気を付け、インフルエンザの検査結果を告げた。
「あらまそうですのん?」
何故か残念そうに、松坂慶美は、口を尖らせた。
「まだ苦しゅうおますのにい。ほら、せんせ、胸もまだドキドキしてますのよ」
と、松坂慶美は、ドクトル・ギャランドゥの手を取り、自身も胸に当てた。
「え!いやあ、ああ、お母さん…」
ドクトル・ギャランドゥは、慌てて手を引っ込めた。
「母さん!ダメよ!」
外田有紀も母親の腕を抑えた。
「あら、何しますのやあ」
と、松坂慶美が、娘を睨んだ時、
「(んぐっ!)」
ドクトル・ギャランドゥの両手は、白衣の上から、股間の上に当てられていた。
「ま、ま、まあ、お母さん、風邪だと思いますので、薬を処方しておきますから」
「あら、そうですのん。明日の朝になってもまだ熱が下がらへんどしたら、また来さしてもらいますわ」
「いや、それは……明日は、当クリニックは、休みなので」
「あらま、どないしましょ?」
「明朝、まだ具合が悪そうでしたら、別の病院に」
「うちは、せんせに、また診て(見て)欲しゅうおますのに」
「(そりゃ、僕だって……いや、いやいや……違う、違う。僕は松坂慶子には興味はない!)」
「(ふん、ロリコンの熟女好きのくせに!)」
看護師ローラは、右手で電子カルテに入力するドクトル・ギャランドゥが、左手を白衣の股間部分に当てていることを見逃さなかった。
(続く)
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