(うつり病に導かれ[その25]の続き)
「じゃ、薬飲んでね。水、置いておくからね」
と、妻が部屋を出ると、ビエール・トンミー氏は、『メディシン・アニータ薬局』でもらった薬を手にした。
「(先ずは、葛根湯か)」
『1』と書かれた『ツムラ葛根湯エキス顆粒A』の封を切り、コップに入った水を口に含むと、顆粒を喉に流し込んだ。
「カゼニハ、『カッーコントー』ネエ。ウフン」
と云った『メディシン・アニータ薬局』のアニータの言葉を思い出すと、股間も、アニータの『リビドー・ロゼ』の香りを思い出した。
「(んぐっ!)」
そして、『アスベリン』、『ザイザル』、『カロナール』も飲むと、体をベッドに横たえ、iPhoneを手にすると、あることを思い出した。
「(あ、アイツに連絡しておかないと)」
と、iMessageを打ち出した。
「明日の『会合』ちょっと延期してくれないか?」
翌日、友人のエヴァンジェリスト氏と会うことになっていたのだ。『会合』と云っても、ビアレストランで、老人同士、クダラナイ会話をするだけのものだ。
「今、熱が39度ある」
『ギャランドゥ・クリニック』から帰った後、熱は上っていた。
「熱カカー、咳ゲホゲホ、鼻水ビービャラ、頭痛ヅンヅンで大変なんだ」
と打つと、暇な友人は、即、返信してきた。
「おお、それは大変だあ!ああ、延期しよう。インフルエンザか?」
「いや、インフルエンザは陰性だった。インフルエンザなら特効薬あるのだが、風邪には特効薬はなくすべて対症療法の薬だ。なかには葛根湯もある」
と、葛根湯のこと触れると、またもや
「カゼニハ、『カッーコントー』ネエ。ウフン」
とのアニータの言葉を思い出し、股間も、アニータの『リビドー・ロゼ』の香りを思い出した。
「(んぐっ!)」
すると、それを見透かしたかのように、友人からのiMessageが来た。
「大丈夫か?いやいや、こんなiMessage読まずとも良い。ゆっくり休まれよ。間違っても、病の床でアンナ画像なんて見てはいけないぞ」
アンナ画像は見ていなかったが、自らの瞼に、白衣のアニータの赤い唇、彼女の白衣の間の胸元、カウンターに乗せた胸の画像が、浮かんでいた。
(続く)
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