「あのお…どうして、他の会社の製品を作るんですか?というか、どうして、他社に自分の会社の製品を作ってもらうんですか?」
マーケティング部の壁際に置かれたパソコンの前に座る『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、彼女の横に立つビエール・トンミー氏を見上げて質問した。ビエール・トンミー氏が説明する『OEM』に関する素朴な疑問であった。
「おお!」
ビエール・トンミー氏は、思わず声を上げた。
「(この人は…ただの美人、ただのお嬢様ではない!)」
それまでの『反応』とは異なる『反応』が、ビエール・トンミー氏の中で生じた。股間ではなく、脳内の『反応』であった。ビエール・トンミー氏の股間と脳内の両方に『反応』を生じさせた女性は、マダム・トンミーとが初めてであった。
「OEMにするのは、まあ、色々な理由があるんですが、例えば、商品ラインナップを揃えるというか豊富にする場合、主力商品はともかく、総ての商品を自社製造にすると、工場を持つ等して相応のコストがかかりますが、他社に製造を委託するとコスト削減できたり、需要に対して生産調整をする場合にも対応し易いんですよね。これは、委託者側の都合ですが、受託する企業側も、まあ、色々な理由があるんですが、技術力を向上させることができたり、持っている資産、ああ、生産設備・人員ですね、これを有効活用できるんですね」
ビエール・トンミー氏は、『立て板に水』とはこのことかと思わせる説明をマダム・トンミーに浴びせた。
「(ああ….あー…)」
マダム・トンミーも、シャワーを浴びるかのように、ビエール・トンミー氏の言葉を全身に受けた。
(続く)
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