2020年12月11日金曜日

バスローブの男[その43]

 


「(タッグもいいけど、やっぱり戦いたい!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、マーケティング部の新システム稼働開始の打上げが始まろうとしているにも拘らず、部員の人たちを前に並んで立つシステム開発部のビエール・トンミー氏との『戦い』のことしか頭になかった。


「(トンミーさんの凶器攻撃を受けてみたい!)」


新システム稼動の功労者として、新システムを開発したシステム開発部のビエール・トンミー氏と共に並んで紹介されていたが、部長が2人を称して使った『最強タッグ』という言葉であるとか、その言葉を受けてビエール・トンミー氏自身も口にした『これからもずっとタッグを組んで欲しい』という言葉に、プロレス好きの彼女の魂が燃えたのだ。


「(タッグ・パートナーだって、いつ敵になるか分らないのが、プロレスだわ)」


『原宿の凶器』と呼ばれるビエール・トンミー氏がどうやら股間に隠し持っているらしい『凶器』が、気になったのだ。


「(長州だって、藤波に『俺は、お前のかませ犬じゃない!』って云ったんだもの。2人は、タッグ・パートナーという程の関係ではなかったけど、敵ではなかったのに、ある日、突然、リング上で藤波に牙を剥いたんだから)」





(続く)



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