「(ううーっ!)」
ビエール・トンミー氏は、『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』の充血し始めた両眼に『獣』を見た。
「(これはあ………)」
マーケティング部の新システム稼働開始の打上げが始まったところである。システム開発部で新システムを開発したビエール・トンミー氏は、新システム稼動の功労者として、共に紹介されている新システムの操作を習得したマーケティング部のマダム・トンミーと並んで立ち、2人は凝視め合っていた。
「お似合いだよ、ご両人!」
部員たちから、掛け声がかる。
「おいおい、今日は新システム稼動の打上げじゃなくて、結婚披露宴かよお!」
部員たちは、凝視め合う2人の間に『戦い』が始まっていることに気付いていなかったが、結果として、彼らは2人の未来を予見していたのだった。
しかし……
「(喰ってやるぞ、『獣』め!俺こそ、『獣』なんだぞー!)」
ついに、『原宿の凶器』が、その牙を剥いた。
「(負けないわよ!『凶器』だってなんだって受けて立つわ!)」
マダム・トンミーも、『原宿のマドンナ』というよりも『原宿のアマゾネス』と化していた。
(続く)
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