「(これだったのね!)」
『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、自らの下半身の神経がビエール・トンミー氏から感じたものが何であるのかを知った。
「(ええ、プロレスには、つきものだわ)」
『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏と、まるで『ナメクジ』のように、舌同士でコブラツシストを掛け合い、次いで、『ヒル』のように、またもや舌同士で『吸血攻撃』でせめぎ合っていたのだ。
「(これが、噂の…『原宿の凶器』だったのね!)」
会社の女性社員の間で、ビエール・トンミー氏が『原宿の凶器』と呼ばれていた理由が初めて判ったのだ。
「(トランクスの中に『凶器』を隠していたのね!)」
『凶器』が使われる前に、マダム・トンミーの下半身にあたり、彼女は、その存在を察知したのだ。悪役プロレスラーは、凶器をよくトランクスの中に隠しているものだ。
「(でも、どんな『凶器』なのかしら?...こんな大きな『凶器』をトランクスの中に隠していたなんて!)」
栓抜きとかボールペン、フォークといったよく使われる凶器とは違うものであるとは思った。
(続く)
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