「(おおー!)」
ビエール・トンミー氏も、思った。攻めていたはずの自分の舌が、相手の、つまり、『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』の舌から強烈な巻き付き返しを受けて、思ったのだ。
「(ナメクジだ!)」
そう、ビエール・トンミー氏もまた、自らの舌に巻き付いてくるものを『ナメクジ』と認識したのだ。『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、口と口とを合せ、互いの口の中に攻め入ってくる相手の舌を、ビエール・トンミー氏とマダム・トンミーとは共に、『ナメクジ』だと思ったのだ。
「(ヌルヌルだ!)」
「(ヌルヌルだわ!)」
2人の舌は共に、まさに『ナメクジ』が粘液を出し蠢くように、互いの口の中をぐしょぐしょにした。
「(んぐっ!)」
ビエール・トンミー氏は、自らの体にすでに生じていた『異変』が更に大きな『異変』となったのを感じた。
(続く)
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