2020年12月6日日曜日

バスローブの男[その38]

 


「いやあ、君もそんなにいいモノを持っているのかあ!?」


と、マーケティング部の新システム稼働開始の打上げをしている居酒屋で、マーケティング部の部長が、隣に立つビエール・トンミー氏の股間を平手でポンと打った。


「うっ!」


ビエール・トンミー氏は、思わず体をくの字にして、股間を両手で抑えた。


「おお、なかなかの凶器だな。ハハハハハ!」


と、笑いながら、部長が視線を落としたビエール・トンミー氏の股間に、『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は釘付けになっていた。


「(やっぱり、そうだったのね!)」


まだ乾杯をしておらず、マダム・トンミーもまだアルコールを口にしてはいなかったが、彼女の顔面は、既に崇拝のビールを飲んだかの如く紅潮していた。




「(トンミーさん、やっぱりプロレスをなさるのね!でも、まさか凶器をそんなところに隠しているなんて!)」



(続く)



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