2020年12月27日日曜日

バスローブの男[その59]

 


「(ええー!?私の?)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、気付いた。もう一匹の『ナメクジ』の正体に、である。『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏に口を口で塞ぐ『窒息技』を掛けられた彼女の口の中に侵入してきた『ナメクジ』に敢然と立ち向っているもう一匹の『ナメクジ』……その正体を知ったのだ。


「(わ・た・しの『シタ』?...ええ?私の舌なの!)」


マダム・トンミーは、自分の舌に対してコブラツイストを掛けてくる『ナメクジ』に対し、くるっと回るようにコブラツイスト返しをしているもう一匹の『ナメクジ』が、自分の舌であることを初めて認識したのだ。


「(私の舌が、ナメクジ?......ってことは、んまあ!)」


マダム・トンミーは、もう一つの真実を認識した。


「(トンミーさん!アナタのなのね!アナタの舌なのね、私の舌を攻めるナメクジは!)」


と思っている間も、『ナメクジ』は、いや、ビエール・トンミー氏の『舌』は、もう一匹の『ナメクジ』に、いや、マダム・トンミーの『舌』にコブラツイストのように巻き付いてくる。




「(んん、もー!)」


マダム・トンミーの『舌』は、巻き付いてくるビエール・トンミー氏の『舌』から逃れながらも、逆にビエール・トンミー氏の『舌』に巻き付いていく。それまで以上に能動的に。



(続く)




2020年12月26日土曜日

バスローブの男[その58]

 


「(ええーい!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、『ナメクジ』に立ち向っていった。場所は、『逆さクラゲ』の部屋である。いや、『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上である。いやいや、『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏に口を口で塞ぐ『窒息技』を掛けられた彼女の口の中である。


「(ウーウー、ヌルヌルヌール!)」


マダム・トンミーは、ヌルヌルと口に中の侵入し、彼女の舌にコブラツイストを掛けてきた『ナメクジ』に対して、ヌルヌル返しを仕掛けていった。コブラツイスト返しだ。


「(へっ!)」


マダム・トンミーの口の中の『ナメクジ』は、反撃に遭い、一瞬怯んだが、


「(オオー、ヌルヌル、ヌルヌル、ヌルヌルヌール!)」


それまで以上に執拗なヌルヌル・コブラツイストを掛けていった。


「(ん、まあ!負けないわあ!)」


マダム・トンミーは、まさに負けじとヌルヌル返しをしていった。いや、マダム・トンミーの舌は、彼女の口の中に侵入してきた『ナメクジ』に敢然と立ち向っていったが…..


「(あら、もう一匹、ナメクジ…え!?)」


マダム・トンミーは、そう、気付いたのだ。『ナメクジ』に敢然と立ち向っていったのは、もう一匹の『ナメクジ』であった。そして、そのもう一匹の『ナメクジ』の正体を知った……




(続く)




2020年12月25日金曜日

バスローブの男[その57]

 


「(いやー!)」


信じられなかった。『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、信じられなかった。


「(トンミーさん!アナタ、口の中にナメクジを忍ばせていたのね!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、ビエール・トンミー氏に『逆さクラゲ』の部屋の回転する円形ベッドに押し倒され、口を口で塞ぐ『窒息技』を掛けられ、回る天井を見ながら、口の中に侵入してきたものをナメクジと理解していた。


「(プロレスにナメクジを持ち込んだのは、アナタが初めてだわ!)」


マダム・トンミーは、口の中に侵入してきたものをナメクジと理解するだけではなく、自分とビエール・トンミー氏が体をぶつけ合っているのを未だプロレスと理解していたのだ。


「うぶっ…」


マダム・トンミーの舌をツンツンしたり、歯茎と頬の内側を、右へ左へと、上へ下へと動き回っていた『ナメクジ』が、マダム・トンミーの舌に本格的な攻撃を仕掛けてきた。コブラツイストを掛けるように、絡みついてきたのだ。




「(く、く、口の中でもコブラツイストなんて!)」


と思いながらも、マダム・トンミーの舌は、抗った。


「(掛けさせないわ!)」



(続く)




2020年12月24日木曜日

バスローブの男[その56]

 


「うぶっ…」


噎せた。『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、噎せた。『逆さクラゲ』の部屋の回転する円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏に口を口で塞ぐ『窒息技』を掛けられていたのであったが……


「ううーっ…うぶっ、うぶっ…」


『窒息技』を掛けられたまま、マダム・トンミーは、噎せた。


「(何!?これ…何!!!???)」


口の中に何かが侵入してきたのだ。


「うぶっ、うぶっ…」


侵入してきたものは、マダム・トンミーの口の中で自在に動き回っている。


「(え、ええーっ!)」


最初は、マダム・トンミーの舌をツンツンしていたソレは、今度は、マダム・トンミーの歯茎と頬の内側を、右へ左へと、上へ下へと動き回った。


「(ひ、ひえーっ!)」


今度は、歯茎の裏側を、上へ下へと、右へ左へと、動き回った。


「(ナ、ナ、ナメクジ!)」


そうだ。マダム・トンミーは、侵入してきたものをナメクジと認識した。




(続く)




2020年12月23日水曜日

バスローブの男[その55]

 


「(まさか、リングにまで仕掛けをしていたなんて、トンミーさん、アナタっていう人は!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、『逆さクラゲ』の部屋のベッドをプロレスの円形リングと捉え、そこに押し倒され、更にそのベッドが、いや、リングが、回転することに驚愕した。


「(こんな仕掛けをしていいの!?ええ、いいのね!それがプロレスね!)」


回る天井に眩暈を覚えながら、マダム・トンミーは、思った。


「(そう、トンミーさんなら、何をやってもいいのね。前田日明が、『猪木だったら、何をやっても許されるのか』と云ったけど、いいのよ、猪木さんなら!いいのよ、トンミーさんなら!)」


マダム・トンミーは、彼女に対して、口を口で塞ぐ『窒息技』や、臀部と同時に『胸』に対してクロー攻撃を掛け、更に、リングを(実際にはベッドであったが)回転させる程、創意に満ちたビエール・トンミー氏に、次々と既成概念を打ち破ってきたアントニオ猪木を見ていた。


「(でも、私、相手が猪木さんでも、トンミーさんでも負けないわ!)」


と、彼女自身も『闘魂』を燃えさせようとした、その時であった。




(続く)



2020年12月22日火曜日

バスローブの男[その54]

 


「(ひえ~!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』の体が飛んだ。『逆さクラゲ』の部屋に入ったところで、ビーエル・トンミー氏から、口で口を塞ぐ窒息技を掛けられ、更に、左手で右臀部に対して、右手で左『胸』に対してクロー攻撃を掛けられたままの状態であった。


「(うっ…)」


飛ばされ落下したマダム・トンミーの体が、跳ねた。ビーエル・トンミー氏に乗っかかられたまま、ベッドの上に倒れ込み、ベッドのスプリングで跳ねたのだ。


「(何?何、何?...ああ、ボディ・プレスね!いえ、テーズのフライング`ボディシザース・ドロップの変形かしら?)」


マダム・トンミーは、抑え込まれたまま、ルー・テーズの得意技を想起していたが…


「ふ、ふーっ!」


久しぶりに息を吹いた。ビーエル・トンミー氏が、口で口を塞ぐ『窒息技』を解いたのだ。しかし…


「え、ええー?」


仰向けになったままのマダム・トンミーが見上げている天井が回りじ始めたのだ。…と、


「(う、うっ…)」


再び、『窒息技』を掛けられたのだ。


「(何故?何故?どうして、天井が回っているの?...あ!リングが、円形リングが回っているのね!私が、回っているのね!)」


ビーエル・トンミー氏が、『窒息技』を一瞬解いたのは、ベッドの回転スイッチを押す為であったことに、マダム・トンミーは気付いていなかった。




(続く)




2020年12月21日月曜日

バスローブの男[その53]

 


「(ええ!ええ、ええー!)」


ビエール・トンミー氏の口で口を塞ぐ『窒息技』で声を出せない『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、脳天から声にならない叫び声を吹き上げた。『逆さクラゲ』の部屋に入ったところである。


「(ど、ど、どうして、そこを!?)」


右臀部をビエール・トンミー氏の左手でクロー攻撃されていたが、ビエール・トンミー氏の右手までもが、クロー攻撃を仕掛けてきたのだ。


「(ん、まあ!.....そこも、痛いっていうより…んぐっ!)」


マダム・トンミーの全身を稲妻のような『異変』が走った。


「(気持ちい…んぐっ!)」


ビエール・トンミー氏の右手が仕掛けてきたクロー攻撃の対象は、マダム・トンミーの左『胸』であった。


「(ああ…)」


マダム・トンミーの眼球が上瞼に移動し、白眼を剥きかけたその時であった。





(続く)