「ふふん、『人間亀』だって?くだらん」
友から、『人間鹿』に加えて、『人間亀』なる存在が出現したと聞き、ビエール・トンミー氏は、一笑に付した。
「いや、『人間亀』である後輩のヒルネン本人はいたって真剣なのだ。亀は『野獣』ではないのか、と悩んでおるのだ」
エヴァンジェリスト氏は、反論した。
「くだらん、くだらん、実にくだらん」
「もし、亀が『野獣』ではなかったとしても、ガメラのようになれば、『野獣』として認められてもいいのではないか、と主張している。亀だって、『野獣』になりたいと思っていると思う、と泣きそうになりながら云うのだ」
「いいか、『人間亀』なんて、特別な存在ではないのだ」
「いや、『人間亀』という者がいようとは、ボクは思っていなかった」
「男は皆、『人間亀』だと云っていいのだ。ワシだってそうだ」
「はあ?」
「正確には、ワシは『亀』を持っているというか、『亀』の頭を持っているのだ」
「ああ、そういうことか。君は相変らずくだらんことを云う奴だな」
「ワシのソレは、かつて『野獣』であった」
「ああ、かつて『原宿の凶器』とも呼ばれていたのだろ」
「そうだ、コブラまたはマムシと呼ばれ、口から『白い炎』を吐き散らしていたものだ。ハハハハハ!!!」
「コブラ、マムシって、ヘビだぞ。『亀』ではないぞ。君は『人間亀』ではないではないか」
「うっ……」
「しかも、今の君のソレは、『○○の小器』となってチンマリしているではないか」
「ああ、そうだ…..『白い炎』を吐くことも稀となった。しかも、その『炎』に勢いはなくなってしまった……」
「そうだな。今の君のソレは、コブラでもマムシでもなく、鈍重な『亀』であるかもしれんな。君は、『頭』だけはいきり勃つものの、体は鈍重な『亀』であるかもしれんな」
「嫌だ!嫌だ、嫌だ!ワシはもう一度、『野獣』になるのだ!ワシは『亀』ではない!『亀』になりたくはない。今一度、コブラ、マムシとなり、『野獣会』を結成するのだ。そうして、●●●子先生に云ってもらいたい。『You are beast!』と」
くだらない老人たちの会話は続き、一方、六本木では、今夜も、『ケダモノ』になりたい若者たちが六本木を彷徨っているのであった。
(おしまい=『蛇』足でした)
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