「君なのか、『野獣会』復活を目論んでいるのは?君は、かつて『原宿の凶器』と云われたモノの持ち主だからな。どうだ、答えよ、ビエール・トンミー氏よ」
かつて六本木にあったとされる『野獣会』が、およそ60年の時を経て、復活されようとしている、という噂を耳にし、ビエール・トンミー氏に問うたのであった。
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「おお!『野獣会』が復活か....いや、すまん。正直に云おう。『野獣会』のことは初めて知った」
ビエール・トンミー氏にしては、珍しく正直だ。
「まあ、『野獣会』と聞いて、先ずワシのことが君たちの頭に浮かぶのも無理はない。若い頃のワシは、まさに『野獣』そのものであったからな、ハハハハハ」
やはり、うぬぼれ屋のビエール・トンミー氏だ。
「しかし.....」
と、ビエール・トンミー氏は、年相応の老人らしく、肩を落とし、ため息混じりに言葉を吐いた。
「しかし....だ。ワシも老いた。かつて『原宿の凶器』と呼ばれたアレも、今や『○○の小器』となってチンマリしておる」
そんなことは、とうに承知だ。
「アソコに白いものも増えた.....」
元カノのアグネスや、オープンカレッジの美人講師と怪しい関係を持ちそうになる夢を見る、というよりも、そんな妄想ばかりしていることは、バレているのだ。
「妻が最近、かなり大きめのウインナー・ソーセージを食事に出すことが多いのが気になる。どういう意味なのだ?」
夢にせよ、妄想にせよ、元カノや美人講師と怪しい関係を持ちそうになる、というところで止まるのが、情けない。
「いやいや、老いたから、ということではなく、ワシは元々、『野獣会』のメンバーになる存在ではないのだ」
気を取り直したようだ。強がりだ。懲りない老人である。
「ただの『野獣』ではなかったのだ。『インテリ野獣』であったのだ。理性と野生が共存した稀有な存在であったのだ」
変態老人の言い訳は聞き苦しい。
どうやら、ビエール・トンミー氏は『野獣会』復活とは無縁のようだ。
では、『野獣会』復活にかんでいるのは、誰なのか?
(続く)
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